日本の女性が韓国に住んで現地で働く様子をこれまで様々に見てきた。韓国の旅行会社、ソウルガイドの情報会社、貿易会社など……。彼女たちは変化の激しい韓国で刺激を受けながら生き生きと働いていた。
強烈な上昇志向
韓国で働く日本の女性の声を集めてみた。
最初は韓国人のバイタリティに刺激されたという話だ。
「留学に来たときはまだ甘えがあったと思います。韓国を変に理想化していたのに、実際に住み始めてからはいろいろな面が見えてきて幻滅しました。でも、日本に帰るつもりはなかったですね。意地でも1年は我慢しよう、と。あれだけ好きな韓国にようやく住むことができるようになったのですから。念願がかなったのに本当に韓国が嫌いなわけがないと思ったんです。その結果、韓国で仕事も見つけました。
知り合った韓国人が、1日12時間勉強していると言っていました。凄いですよ。私は働いてもせいぜい9時間。だったらあと3時間勉強してもいいはずだと前向きに考えられるようになりました。それくらい、韓国の人には刺激されますね」
確かに、韓国人が潜在的にもっている上昇志向は強烈だ。明日は今日よりもっといい1日になると確信し、そのために全エネルギーを傾ける。
さらに、韓国で働く日本女性の声は続く。
「多少の熱があっても韓国の人たちは会社に来ますよ。日本だったら絶対に休むような場合でも休まないんです。生きていくために必死に働いているんだなあと実感します」
「韓国の人は本当によく協力してくれます。最近はソウル暮らしが楽なので、日本に帰れないんじゃないかと真剣に思っていますよ」
「韓国のほうが楽です。日本にいると細かいところに気をつかわないといけないけど、韓国はなんでも『ケンチャナヨ(大丈夫)』で済んでしまうから。それが私に合っているんです。でも、仕事で会った初対面の人が、どんどん心の中に踏み込んでくるんです。そういう韓国スタイルに戸惑うこともあります。私は人と距離をおくほうなので、最初は『エッ』という感じ。それでも構わずぐんぐん来られてビックリしました」
なるほど。対人関係での距離の取り方は日韓で違う。日本女性にとっては、戸惑いもあるだろう。
通勤時の混雑ぶりは東京もソウルも変わらない。
「朝の通勤ラッシュでも、人がどんどんぶつかってくるのに謝りもしないことには驚きました。最初は本当に嫌だったけど、徐々に慣れました。最近はソウルのほうが性に合うと思うようになってきた。たとえば、私も地下鉄で相手の足を間違えて踏んでしまうときがあるけど、韓国の人はちっとも痛がらず、知らん顔してそのまま行ってしまいます。日本だったら絶対に相手が嫌な顔をするのに韓国では平気。そのあたりはちっとも神経質じゃないですね」
物価の高さを指摘する人もいた。
「ソウルの物価は高いですね。特に外食産業が高く、外で食事ばかりしているとアッという間にお金がなくなってしまいます。もともと給料水準も日本より低いから、あまりお金が残らない。かなり切り詰めないと、やっていけないですね」
それでも、韓国で働くと得られるものが多い。
「ソウルで働く以上、語学力がないと駄目なのは当然としても、同時にネットワークをできるだけ広げないといけませんね。人脈がない人は韓国では生き残れません」
やはり、韓国は人脈優先の社会なのである。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
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コラム提供:ヨブル