11月9日(日)星陵会館にて、初来日となる人気ミュージカル俳優、ハン・チサンの「トーク&ライブ inTokyo」が開催された。
ハン・チサンは、「フランケンシュタイン」、「スカーレット・ピンパーネル」、「二都物語」、「ジーザス・クライスト・スーパースター」等人気ミュージカルに出演し、日韓共にファンの多いトップミュージカル俳優の1人であり、出演する作品毎にキャラクターを変えるその高い演技力にも定評がある。
初めての来日となるハン・チサンに会おうと、日本国内のみならず韓国からも多くのファンが集まった。東京はあいにくの曇り空だったが、外の雲を消し去るかのような力強く美しい歌声で、「ノートルダム・ド・パリ」より「カテドラルの時代」を歌いながらシックなブラックスーツ姿のハン・チサンが登場すると、会場からは大歓声が響き渡った。「こんばんは。ハン・チサンです」と日本語であいさつし、1曲目を選んだ理由について聞かれると、「オーディションに落ちたので未練が残っています(笑)」とお茶目な回答し、和やかなムードでイベントの幕を開けた。
MCと共に、「ハン・チサンの素顔を知ってもらおう」をコンプトに掲げ、MCとのQ&A形式で行われたトークでは、まずはソウル出身のハン・チサンに、家族についての質問からスタート。
Q両親は音楽関係の仕事をされてたのですか?
両親は音楽関係ではなく、大学で講義をしています。
Q(教育関係なので)厳しかった?
厳しかったです(笑)たくさんのことを教えてくれて、素晴らしい道を導いてくれましたし、俳優は文学を現実化して皆さんに伝える職業なので、そういう面でもとても力になったと思います。
Q大学が演技学科ですが、いつ頃から演技を勉強したいと思ったのですか?
最初から演じる側というよりは、演技を理論的に表現できないかと思って選びました。
Q(名門成均館大学へ進学したハン・チサンだが実は4回目の合格だという苦労話から)浪人時代は辛かったのでは?
そうですね。友達は大学生なので、そこで一緒になれないのが辛かったです。寂しさと孤独を乗り越えるためにカラオケに逃げました(笑)
Qどんな歌を歌っていましたか?
ジャンルを問わず歌いました。XJAPAN歌も歌いました。
(会場から、えー!!と驚きの声が上がる)
そのリクエストに応えて即興でXJAPANのアカペラを披露し、会場は大興奮。
無事成均館大学へ進学し、ハン・チサンの今を築いたといわれる演出家のイ・ジナ先生との出会いについて聞かれると、「第一印象は、本当に怖かったです(笑)」と率直に答え、「今も変わってはいませんが、10年経ったので怖い印象が薄くなったかな(笑)」と笑顔を見せた。
飾らない人柄で終始和やかに進む中、お待ちかねのライブコーナーへ。
また自身出演作ではないミュージカル「レ・ミゼラブル」から「Bring Him Home」を選んだ理由について、「20年後に出演するためです。」と答え、会場の笑いを誘った。そんなキュートなハン・チサンだが、ライブが始まると、その歌声は力強く、そして圧倒的な歌唱力でファンを一瞬にして酔わせた。拍手が鳴り止まない中、再びトークコーナーへ。続いて自身の出演作についての話に。
◎「グリース」
本当に難しかったです。女性の方はマルチプレイ(2つのことを同時にすること)が出来ますが、男性はできないんです。
(ここで、ハン・チサンが「料理しながら電話をする女性」を全身使って実演し、会場は大爆笑)
僕は全然できないので、ミュージカルはそういう面があるので、とても難しかったです。
◎「スウィニー・トッド」
本当に難しいです。さっき言ったマルチプレイが少しずつ出来ているのかなと感じました。
◎「ドンファン」
僕は米大統領の暗殺を試みる役で、1年中サンタクロースの格好をした役でした。
サンタクロースがハンバーガ―食べてお酒を飲んで変な役でしたね。
盛り上がってきたところで3曲目のライブコーナーへ。
7才から16才まで習っていたという自慢のピアノ(舞台はキーボード)の弾き語りを披露する事に。あまりのかっこいい姿に思わず「モテたでしょ?」と司会者に突っ込まれると「オットケ~(どうしよう)」とはにかみ、キュートなハン・チサン。更にここで抽選に当たったラッキーなファンが舞台へ上がり、特別に彼の弾き語りの姿を間近で経験できるといううれしいプレゼントが。イ・スンギの「俺の女だから」を甘く熱唱し、選ばれたファンはもちろん、会場中を虜にした。熱気が収まらない会場のために更にサプライズでXJAPANの歌を即興で披露し、会場からは大きな拍手が鳴り響いた。最高の盛り上がりの中、再びトークコーナーへ。
気になる軍隊時代の話から。
Qどんな仕事をされていたんですか?
ソウルの警察芸能兵にいました。歌も歌えてすごくいいところにいました。
僕がいたのは広報団体というところで、色々なところに軍隊について行って歌やプロモーションをするような部署で、とても運がよかったと思います。
(除隊後の作品について)
◎「ネクスト・トゥ・ノーマル」
軍隊中に内緒で受けました(笑)ゲイの役でしたが、マルチプレイがとても大切でした。
MC:軍隊の経験で変わりましたか?
軍隊は社会生活が学べるところだったので、自分自身をリセットさせるやり方も学べたような気がします。
◎「ワントゥギ」
30代で18歳の役をやりました。
MC:ボクサーの役ということで、体を鍛えましたか?
はい。体育館に通いながら、食事制限をして空が黄色く見えるような(笑)大変でした。
体も(筋肉で)割れていいました。
そしていよいよ昨年(2013)7作品に出演した快挙について聞かれると、
「結構稼ぎました(笑)」とウィットに富んだコメントで返し、会場中が笑いの渦に。
◎「ジーザス・クライスト・スーパースター」
キーを2つあげて歌ったデモテープを送りました。
(ここで原曲と2つあげたキーでアカペラを披露するサービス精神旺盛なハン・チサン)
表現できる長所を思う存分表現して楽しみました。自分の中にあるものを表したと思います。
◎「スカーレット・ピンパーネル」
今まで重い作品が多かったのですが、久々に愉快な作品に出会えたなと思います。
MC:日本の宝塚でも有名な作品で、女性だけの宝塚は知っていますか?
初めて聞きました…。(女性にかけて)女性の心をつかむ曲があるんですけど…。
またまた甘い歌声でサプライズアカペラを披露。またまた会場は大興奮。
◎「ボニー&クライド」
K-popアイドルもたくさん出ていますよ(笑)とても楽しかったです。オープンカーに乗ってまっすぐな道路を走っているような感覚を覚えました。舞台で思う存分悪いことをしました(笑)とにかくキスシーンが多くて口紅をふき取る作業が大変でした。
続いて4曲目「ボニー&クライド」より「What I drive」。ミュージカルさながらのノリノリの曲で、大きな手拍子と共に楽しく歌声を届けた。
黄色い歓声が響く中、トークコ―ナーに戻り、多くのファンを虜にした作品
◎「フランケンシュタイン」
たくさんの思い出がありますが、創作ミュージカルですし、本当に大変でした。舞台で死ぬのではないかと思いました。後でフランケンシュタインの曲を歌う予定ですが、死ぬかもしれません(笑)
MC:怪物役で気を遣ったことは?
捨てられたものに対しての気持ちを伝えること、人間ではないので怪物らしさをいかに表現するかを考えました。(劇中の)博士を憎んでいるのか愛しているのか考えました。結局は愛していたんですけどね。
ここで、MCより怪物歩きの実演を求められると、「似ているといわれる」とマイケル・ジャクソンの「ビリー・ジーン」をまたまた即興で披露。あまりのかっこよさに、会場中から悲鳴が飛び交った。
◎「二都物語」
アル中の役なので、普段はあまりお酒を飲む方ではないのですが、3か月間お酒を飲みました。おかげで飲めるようになりました(笑)
(なんと会話は脱線してお酒の話に。)
焼酎とビールを合わせたものでおいしく作れる黄金比率があります!!7.8:2.1くらい。ラーメンも水の量が大事なのとおなじです(笑)よくスプーンで混ぜたりしますが、してはいけません。実は昔スターバックスでアルバイトをしていたのですが、混ぜないでそのまま渡すんです。マキアートもそうです!
ハン・チサンの脱線した「マキアートトーク」に、次回は「ハン・チサン特製マキアートプレゼント」企画を行うとMCが宣言し、会場は笑いの渦に包まれた。
盛り上がる中、いよいよトークコーナーは終盤に。
◎「THE DEVIL」
キャラクター作りで苦労しました。一言では言い表せない複雑な人物です。全てをコントロールすると設定しました。
最後に自身初となるドラマ出演で、現在放映中MBCドラマ「バラ色の恋人たち」について聞かれると、「視聴率40%を目標にしています(笑)(主演のイ・ジャンウは)本当にいい人で、初ドラマなのですが、リードしてくれます。年は僕の方が上ですが、お兄さんのような存在です。」と・ドラマの意気込みを語り楽しかったハン・チサンとのトーク&ライブもいよいよ終わりに近づき、最後の曲紹介へ。
自分を作ってくれた人、みんなから捨てられたその人たちに向かって叫ぶ難しい歌「フランケンシュタイン」より「私は怪物」を豊かな表現力で歌い上げ、鳥肌が立つほどの圧巻のパフォーマンスを受けて、ファンの鳴り止まない拍手喝采の中で、惜しまれながら、ステージを下りた。
それでも鳴り止まない拍手にアンコールで再びハン・チサンが登場し、「久しぶりに歌いましたが、熱いものが込み上げてきました。キャラクターが私と似ているので慰めになる曲です。」と改めて曲への思い入れを伝え、MCがまた日本に来てほしいとファンの声を代弁すると、大きくうなずき近い再会を約束した。アンコール曲として、歌詞がすごくよくて選んだという映画「Begin Again」より「Lost Stars」感情豊かにしっとりと歌い、全観客を魅了した。
「またぜひみなさんに会いたいです。日本韓国には素晴らしい多くの俳優がいると思います。その中の1人だといいなと思います。お越しいただいて本当にありがとうございます。来年新しいミュージカルもやりますので、ぜひ観に来てください。飛行機代がもったいないと思わせないように頑張ります。ありがとうございます。」と深い感謝の気持ちを述べて、飾らない性格と爆笑トーク、そしてミュージカル俳優としての圧倒的な存在感と歌唱力で心を揺さぶられたステージは大盛況で幕を閉じた。終演後行われたファンとの握手会では、一人一人の顔を見ながら和やかな雰囲気の中行われ、ファンとの格別な時間を持った。
■ハン・チサン ライブ&イベント in Tokyoホームページ
http://zenith-japan.com/product/141109-hanjisang/
写真提供:(株)ゼニスメディアコンテンツジャパン
取材:Korepo(KOREAREPORT INC)