イ・ジュンギを見ているとこう思う……彼は自分の存在が誰によって支えられているかを心の底から知っている俳優なのだ、と。彼に関わる様々なエピソードから特に3つを選んでみた。
自分の作品への責任感
最初は「ひたむき」なエピソードだ。
主演映画の『王の男』が記録的な大ヒットをしたとき、ドラマの撮影で忙しいにもかかわらず、イ・ジュンギは1日に5カ所の映画館を回りながら舞台挨拶をこなした。すでに公開して日も経ち、観る人はほとんど観たというのに、地方を往来しながら映画を広報したし、ファンとの交流にも喜んで参加した。
多くの俳優が映画の公開直前に、決められた大型映画館で1、2回の舞台挨拶をして済ませてしまうのと比べると、まるで違った。
イ・ジュンギのこのような姿勢からは、自分の作品についての強い愛情と責任感が感じられた。
次は「才能と努力」のエピソード。
イ・ジュンギはファンイベントでも、何カ月も前から計画を立て、専門家から歌とダンスのレッスンを受け、舞台もプロ・ミュージシャンのコンサート並みのものを用意する。すべてがファンに喜んでもらうためだ。
韓国音楽界のヒット・プロデュ―サ―であるキム・ヒョンソクと組んでアルバムを作ったときのことだ。
当時のことをキム・ヒョンソクがこう振り返る。
「マネージャーが置いていったイ・ジュンギのファン・コンサートの資料を見て僕の浅い考えは無惨に壊れました。すごく慌てたんです。彼はプロで、トレンドを作れる人で、アーティストだったのです。冷や汗をかいたほどです。軽く簡単に済まそうと思った僕の判断は間違いでした」
キム・ヒョンソクはイ・ジュンギと最初に会議をした日のことを忘れないと言う。
「なるほど、こうだからイ・ジュンギは成功したのか、と思いました。照明一つにしても細かいアイディアを出して凄いんです」
「ある人は自分の才能の限界にたえず挑戦してそれを克服します。アルバム・プロデューサーとしてこのような人に出会うのは、宝くじに当たるのと同じです。一緒にする作業自体が幸運なのです。そんな人はこちらが一を求めると十を作ってくれます。それがイ・ジュンギでした」
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