「コラム」連載 康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.94「トンイが悪女だという根拠は?」

ドラマ『トンイ』の主人公トンイは、19代王・粛宗(スクチョン)の側室だった淑嬪(スクピン)・崔(チェ)氏がモデルになっている。この女性は『トンイ』では明るく純粋に描かれていたが、史実では「張禧嬪(チャン・ヒビン)より悪女」と思える部分がある。それはどんなところなのか。

動機が重要

1701年8月、粛宗の正室であった仁顕(イニョン)王后が世を去った。その40日後、淑嬪・崔氏が粛宗に対して告発した。それは、張禧嬪が仁顕王后を呪詛(じゅそ)していたという内容だった。
調べてみると、仁顕王后の屋敷の周囲に「呪い殺すための儀式」に使う呪詛物が埋められていた。それは、淑嬪・崔氏が告発した通りだった。
犯人として疑われた張禧嬪は、最終的に死罪になってしまった。これによって、「張禧嬪は悪女」という評判が定着した。
しかし、史実を調べてみると、疑わしいのはむしろ淑嬪・崔氏のほうだった。
実は、張禧嬪が仁顕王后を呪い殺す動機はまったくなかった。仁顕王后は1年半も病床に伏していて、回復が望めない状況だったからだ。
さらに、張禧嬪が産んだ「粛宗の長男」は世子(セジャ/国王の正式な後継者)になっていた。いずれは国王になれるのだ。それなのに、張禧嬪が大罪となる呪詛を仁顕王后に仕掛けるわけがない。

しかし、淑嬪・崔氏には張禧嬪を陥れなければならない動機があった。
淑嬪・崔氏が産んだ王子は二男だった。張禧嬪が産んだ世子がいるかぎり、淑嬪・崔氏の子供は王になれないのだ。
しかし、張禧嬪を陥れて世子を廃することができれば……。
そうすれば、淑嬪・崔氏の息子が王になれる可能性が出てくる。

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2019.10.26