対照的な結末
金宗瑞や皇甫仁は、首陽大君を牽制する戦略の一つとして、安平大君に近づいた。安平大君も兄の首陽大君に批判的で、端宗の王位を守る決意を固めた。こうして王族内では、首陽大君派と安平大君派の二大勢力ができてしまった。
しかし、高名な学者や大臣たちを取りこんでいた安平大君に世論は味方していく。首陽大君はあせったが、側近である韓明澮(ハン・ミョンフェ)の見解は違った。
「今の混乱した情勢では世の中の評判を勝ち取るよりも、武力を集め、いつか来る戦いの日にそなえるべきです」
策士の韓明澮の助言を受けた首陽大君は、積極的に武臣たちを傘下に引き入れることにした。
しかし、首陽大君が武力を強化するのは、多くの危険をはらんでいた。なぜなら首陽大君の動向は常に警戒されていたため、一歩間違えれば反乱の疑いをかけられてしまうからだ。
そこで韓明澮が考えたのが、弓術大会を開くことだった。そこに集まった武臣たちと接触して、飲食をふるまって自然と仲良くなる計画を立てたのだ。
そうした計画のもと、首陽大君は何度も弓術大会を開いた。その甲斐もあって、首陽大君は朝鮮王朝の中でも屈強の武臣たちと親交を深めていった。
こうして首陽大君は戦力を整え、1453年にクーデターを起こして金宗瑞や皇甫仁を殺し、朝鮮王朝で最大の実力者になった。
一方の安平大君は首陽大君によって死罪にされてしまった。
王位をめぐる骨肉の争い……首陽大君が勝って世祖(セジョ)として即位し、弟の安平大君は敗れて命を奪われた。
構成=「ヨブル」編集部
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