朝鮮王朝の歴史に残る「三大悪女」とは?

運命に翻弄された部分も……

二番目の鄭蘭貞。
彼女は、11代王・中宗(チュンジョン)の三番目の正妻だった文定(ムンジョン)王后の側近として王宮内で陰謀をめぐらせた女性で、ドラマ『女人天下』の主人公にもなっていた。
このドラマではカン・スヨンが鄭蘭貞を演じていたが、12代王・仁宗(インジョン)の毒殺にも関わっていたという露骨な描き方だった。
史実では、鄭蘭貞も後ろ楯だった文定王后が世を去ったあとに自決せざるをえなくなり、末路はあわれだった。

最後の張禧嬪。
彼女は、19代王・粛宗(スクチョン)に寵愛された側室で、王妃を呪い殺そうとした罪に問われて最後は死罪になっている。
ただし、美貌と欲望で一度は正室にまでのぼりつめた数奇な運命がとても興味深いようで、“韓国時代劇の永遠の悪役ヒロイン”と呼ばれるほどドラマや映画にひっぱりだこのキャラクターになっている。ドラマ『トンイ』でイ・ソヨンが知性的に演じていた。
以上の3人が朝鮮王朝でも悪女の代名詞になっているのだが、彼女たちは低い身分から必死に成り上がろうとした結果として悪評を受け、運命に翻弄された部分も強かった。むしろ、「三大悪女以上の巨悪」は、権力を握る側にいたのであるが……。
それは、いつの世も変わらないことだ。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

コラム提供:ヨブル

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康 熙奉(カン ヒボン)
1954年東京生まれ。在日韓国人二世。韓国の歴史・文化と、韓流および日韓関係を描いた著作が多い。特に、朝鮮王朝の読み物シリーズはベストセラーとなった。主な著書は、『知れば知るほど面白い朝鮮王朝の歴史と人物』『朝鮮王朝の歴史はなぜこんなに面白いのか』『日本のコリアをゆく』『徳川幕府はなぜ朝鮮王朝と蜜月を築けたのか』『悪女たちの朝鮮王朝』『宿命の日韓二千年史』『韓流スターと兵役』など。最新刊は『いまの韓国時代劇を楽しむための朝鮮王朝の人物と歴史』。

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2019.06.07