今年は、韓国芸能界の3大芸能事務所、「SMエンタテインメント」、「YGエンターテインメント」、「JYPエンターテインメント」が3社揃って新人アイドルグループをデビューさせた。
これら大手プロダクションの新人組はデビュー前から大きな注目を集める訳だが、デビューを果たしたからと言っていきなりスターになれる訳ではない。例えば、ガールズグループ「Girl's Day」の場合は今年、デビュー3年目にして初めて音楽ランキング番組で「1位」を獲得したのだ。
K-POP界の練習生(研修生)といえば、デビューまでの道のりがとても険しいことでも有名だ。学生時代のプライベート生活を犠牲にしながら、恋愛やスマホ使用なども事務所側に規制され、長い期間、厳しいトレーニングに耐えなければならないのだ。
そして、念願のデビューを果たしてからも絶え間ぬ努力を続けない限り、簡単にブレイクすることはできない。それほど、近年のK-POP界ではライバルとの競争が激化している。
ただ、3大芸能事務所出身ということだけで、実力以外のところで得することも多い。一般社会で言えば、「大学の名前」のようなもの。零細芸能事務所の新人に比べて、3大芸能事務所出身の彼らは「東大」、「慶応」、「早稲田」のエリート扱いをされるからだ。
では、なぜ3社の新人デビューが今年重なってしまったのか。おそらく、K-POPブームのメイン市場であった日本で、「嫌韓ムード」が広がったことが背景にあると考えられる。
「JYJ」、「東方神起」、「BIGBANG」、「2PM」など、すでに実績を持つ人気アイドルたちは「嫌韓ムード」も影響されることは少ないが、それ以外のアイドルや新人ガールズグループたちが日本の音楽マーケットに一から食い込むことはなかなか難しくなってきた。
そこで、売上の大半を日本市場に依存してきた韓国の大手芸能事務所にも焦りが出始め、「ニューフェイス」を投入する必要に迫られた訳だ。
今年の1月にデビューしたJYP社の多国籍男子アイドルグループ「GOT7」は4月に日本でデビューのショーケースを開き、早くも日本進出を本格化させようとしている。
先日の6日に韓国でデビュー会見を開いた「YGエンタテインメント」の「WINNER」もすでに日本デビュー時期が確定している。
また、4日に華々しいデビューを飾った「SMエンタテインメント」のガールズグループ「Red Velvet」も近いうちに日本でデビューのショーケースを開くと見られている。
かつては、韓国でブレイクを果たしてから日本進出を図るのが一般的だったが、もはや「待ってられない」状況になりつつある。
韓国の芸能界ともっとも類似している市場で、距離的にも日帰り公演ができるほど近い日本市場で新たなファン層を取り込むことができなければ、K-POPアイドル事務所の未来はないと言っても過言ではない。
「GOT7」、「WINNER」、「Red Velvet」、この3組の新人アイドルグループに、まさに各社の社運がかかっているのだ。
「GOT7」は、同じ事務所のガールズグループ「Wonder Girls」の活動停止や「2PM」以来の稼ぎ柱の発掘に苦戦しているJYP社の新たな中心軸としての存在感が求められている。
そして「WINNER」には、これまでR&Bやヒップホップ系アーティストに偏っていたYG社の音楽をより大衆的な方向に印象づけ、ポップス・ミュージックとしてヒットさせる役目が与えられている。
最後に、「Red Velvet」だが、これまた所属事務所の大きな期待がかかっている状況だ。「少女時代」の人気がメンバーの立て続く恋愛スキャンダルで失速している中、妹分の「f(x)」までもがチームの顔であるソルリの恋愛発覚や活動中止で危機に直面していることも、「Red Velvet」へのプレッシャーとして跳ね返っている。
デビュー後2枚のシングルをリリースしている「GOT7」がまだヒットに恵まれず、デビューしたばかりの「Red Velvet」への反響も未だは安心できないし、日本では理不尽な「原爆論争」で打撃も受けている。
一方で、YG社の「WINNER」は、デビュー時期を10か月も遅らせていたこともあり、注目度は日々上がっているが、はたして「一発的中」は果たせるのだろうか。
この夏、K-POPシーンから、目が離せないのだ。