「コラム」対談/植村誠・康熙奉「韓国の人々はすぐに豹変する」

韓国的な序列主義
康「相手を見て瞬時に対応するというのは、やっぱり儒教の国らしい序列主義を感じますね。序列に応じて、言葉遣いを変えなければならないでしょ。つまり、自分と同等なのか、自分より格下なのか格上なのか。それによって、言葉遣いや態度を全部変えていくわけです。その序列の根拠というのは、年齢だったり、男女差であったり、経済力だったり、学歴だったり……。そのすべての要素を瞬時に見分けて自分の立ち位置を決めるということが韓国人は慣れている。権威主義的で横柄な人もいるけど、臨機応変に対人関係をこなすことが韓国では特に求められますよね」
植村「いま序列とおっしゃいましたが、1つ印象に残っていることがあります。ソウル駅の課長さんに一度いろいろお世話になって、改めてまた行ったら、たまたまキップ売り場の窓口に課長さんが座っていたので挨拶したんですよ。それで、『今日はKTX(高速鉄道)の取材をしに来ました』と言ったら、『本があるかちょっと待ってて』と彼は部下に何か指示しました」

康「課長さんも世話好きですね」
植村「ええ。ところが、キップ売り場なので並んでいる人たちがいるわけです。ちょっと迷惑かけちゃまずいと思ったので、窓口をどいたんですよ。その間にも課長さんはこちらを気にして、話しかけてきました。そうしていると、キップを注文していた客が、『何でこんな奴を相手にすんだ』みたいな顔をしました。悪意まで感じませんけど、伝わってくるんですよ。ところが、その課長が『ソンセンニム(先生様)』とこちらを呼んだわけです。その瞬間の韓国人の客の変わりよう。そのとき、儒教文化の序列社会というのを感じました」
康「課長さんの年齢は?」
植村「自分と同じくらいだと思いますが、並んでいた客は自分よりちょっと年上という感じでした」
康「客からすれば、『ソンセンニム』と呼ばれた植村さんのほうが序列が上だと思ったんでしょうね」(ページ3に続く)

2018.07.05