幸先のいいデビュー
準備期間の間、パク・ヘジンは演技の勉強を一生懸命に続けた。しかし、その2年間は彼にとって、「俳優になる夢を育てる期間」でもあった。
今まで経験したことのないソウルの生活に少しずつ慣れながら、多くの芸能関係者と会って話をし、芸能事務所のスタッフと一緒に撮影現場に出向いてドラマがどう作られていくかを学んだ。
そんな風に、先輩俳優たちが仕事をする姿を見ながら、パク・ヘジンは俳優という職業がどんなものなのかを肌で感じ、自分もこの世界に飛び込もうと決心した。
デビュー作となった『噂のチル姫』の出演依頼は、突然、舞い込んできた。実際、初めて配役の話を聞かされたときは、パク・ヘジン本人も、自分が演じるヨン・ハナムという人物が、それほど大きな存在ではないと思っていた。脚本家も「どれだけ出演することになるかわからない」と言っていたほどだ。
しかし、いざ撮影が始まってみると、出演場面が本当に多かった。こうしてパク・ヘジンは韓国の視聴者に俳優として顔を知られるようになった。しかも、評判がとても良かった。
ただ、パク・ヘジン本人はその評判が信じられなかった。
2年という時間をかけて演技の準備をしてきたが、他の俳優たちに比べれば準備期間としてはまだまだ短いと感じていた。しかもソウルの生活や芸能界など、新しい環境に慣れる必要があったので、演技の準備に専念できていたわけでもなかった。
そんな自分が、いきなりドラマに出て良い評価をもらえたことは、うれしさと同時にどこか恥ずかしさもあった。(ページ3に続く)