「コラム」サムスンはいかにして「世界のブランド」になったのか(前編)

 

少年が見た大きな夢
少年がわずか11歳で日本にやってきたのは、父が子供の将来に夢をかけていたからだった。事業で成功していた父は後継ぎに日本の留学体験を積ませることで、何かをつかみとってほしいと願っていたのだ。
しかし、少年が日本で身につけたのは屈辱だった。
「いつか日本を追い越してみせる」

そう誓った少年は李健熙(イ・ゴンヒ)と言った。サムスングループの総帥として父から受け継いだ会社を世界的企業に育てた立役者だ。
かつてボブ・ディランは『時代は変わる』という曲の中で「昨日のビリが明日のトップになる」と歌った。
残念ながら多くの場合で「昨日のビリは今日もビリ」という図式が成り立つのが世の中の常なのだが、ごくまれに劇的な主役交代が起こることもある。
それを実現したのがサムスンである。(ページ3に続く)

2018.05.22