<Wコラム>「BEAST」(ビースト)、団結の秘訣、そして「東方神起」の記憶

<Wコラム>「BEAST」(ビースト)、団結の秘訣、そして「東方神起」の記憶

先月6枚目のアルバム「グッドラック(Good Luck)」をリリースし、約1年ぶりに帰ってきた6人組男性アイドル「BEAST」(ビースト)。

その少し前に先行配信したバラード曲「No More」も、今回のタイトル曲「Good Luck」も、主要配信サイトで「1位」を獲得し、音楽ランキング番組でも「god」や「BIGBANG」のSOL(テヤン)に負けない成績を収めている。

依然としてアイドル戦国時代が続いている韓国のK-POP界において、彼らはいつの間にか中堅グループに成長している。

ガールズグループが全盛期を迎えていた2009年末、「東方神起」や、「BIGBANG」、「SUPER JUNIOR」、「SHINee」、「2PM」らに続く若手アイドルとして紆余曲折のデビューを果たした「BEAST」。

ことしの10月にデビュー5周年を迎えることになるが、彼らにとって、K-POP業界でささやかれているいわゆる「5年目のジンクス」はまったく無縁のようだ。

過去には、韓国歌謡界の元祖アイドルユニット「ソテジワアイドゥル」から始まり、「H.O.T.」、「god」、「東方神起」、「SS501」など、多くの人気アイドルグループが5年目で解散に追い込まれたり、分裂を経験したりするなど「5年目のジンクス」に起きていたのだ。

世界で類を見ない過酷な労働環境を有するK-POP界。
毎年のようにフレッシュな新人アイドルが現れ、熾烈な「1位」競争が繰り広げられるこの世界では、スターになるのもあっという間だが、ライバルたちに淘汰されるスピードも早い。

たとえデビュー5年目でそれなりに実績を持つアイドルでも、節目のタイミングで、さらに一致団結し新鮮な魅力をアピールすることができなければ、新興勢力組に太刀打ちすることはできない。

「BEAST」の場合も、「U-Kiss」、「INFINITE」や「TEENTOP」など、同時期にデビューしたグループとの激しい競争に晒されていたが、彼らには独自の勝ち方があった。

その秘密は、メンバーたちの「平和な発想」と、「和を大事にするシンプルな考え方」にあったようだ。

リーダーのドゥジュンもインタビューで、「僕達は、5年目のジンクスという言葉すら認識していませんでした。みんな友だちだし、最年少のドンウンも公平で平等な立場でチームに加わっています。意見衝突があっても、多数決で物事が決まるので、問題解決はとても簡単です。シンプルに構えていることがかえってよかったと思います。」と明かしていた。

また、「まずはチーム内でトラブルが起きないようにしながらアーティストとしての責務を果たすことがファンへの恩返しだと思っています。」と、しっかりとしたポリシーを語っていた。

そしてジュンヒョンも、「今までトラブルはほとんどありませんでした。メンバー同士の不仲やそのような陰湿な問題はなかったです。事務所との契約期間もまだまだ長いので、契約や金銭関連の問題にはほとんど無関心ですね。」と、チームの団結心をアピール。

さらに、「リーダーを除いて、3人以上の賛成が出ればその意見で決まるし、みんな意地を張るよりは譲り合うことを優先しています。練習生時代から身についている習慣でもあるので、自己中なヤツは1人もいません。」と満足気に語った。

一方、メンバーのヨソプは、「不思議にも6人のメンバーが全員同じような考え方を持っている時があります。もしも、ソロとグループで1枚のアルバムの製作にかかる時間が同じだとすれば、ソロよりはグループとしての発売が好ましいと思っています。個人の活動ではなく、『BEAST』完全体としての活動により多くの愛着を持っています。もちろん、グループ内でもグループでの活動に関する話がメインですね。」と、連携プレイを大事にする考え方を示した。

といいつつ、最後には「いつか『BEAST』としての活動が少なくなった時がくれば、メンバーそれぞれの積極的なソロ活動もお見せできると思います。」とソロ活動への意欲を見せる場面もあった。

このようにメンバー全員がひたすら前を向いて突き進んでいる感じがする「BEAST」だが、そんな彼らを見ていると、デビュー5年目の年に分裂悲劇に見舞われてしまった5人の「東方神起」を思い出す。5人完全体だった「東方神起」の記憶も、その分裂の惨事も、そろそろ忘れるころにもなっているが…。

2014.07.12