天才作曲家と女子高生が偶然出会って恋をする。一目惚れだ。つじつまが合わないともいえる。突然の感情の高まりにわざとらしいともいえる。しかし、考えてみよう。誰にとっても初恋はそうではなかっただろうか。
映画「カノジョは嘘を愛しすぎてる」は、名前も正体も嘘だらけの天才作曲家の小笠原秋(佐藤健)と一目で彼に夢中になった少女小枝理子(大原櫻子)の初恋を描いた作品だ。
心を込めて作った曲が商業的に利用されることにがっかりした秋はデビューを放棄し、顔を隠したまま曲を作る作曲家になる。世間に背をむけた天才として過ごす彼が、道で偶然ある女子高生に出会って、特別な意味もなく「一目惚れというのを信じるのか」と尋ねる。
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