「コラム」日本と違う韓国のビックリ/第15回/韓国のお墓事情

墓の前には祭祀の料理を並べる石の台が設置されている

他人の墓が勝手に我が墓地に!

母が埋められるときの記憶が生々しい。

日本で骨になった母は、最終的に故郷の済州島に埋められたが、そのときの墓職人の手腕が見事だった。

骨壺に入った骨を人間の形に再現し、服を着せて、安らかに眠るための呪文が書かれた布をかぶせ、所定の土の中に埋めた。棺はなかった。土に還りやすくするためなのだろう。最後はお墓をお椀のような形にして作業が終わった。

今も、私は何年に1回の割合で、秋夕の前に父母の故郷に行き、「ポルチョ」を手伝っている。


あるとき、墓地の隅に、見慣れぬものが存在していた。墳墓なのである。いとこに聞くと、いつのまにか作られていたという。

誰の墓かもわからない。相手からすれば、他人の墓地に勝手に墓を作ったことになる。あきれたが、同時に思い出したことがある。

私の祖父の墓も、かつては他人のミカン畑の中にあった。祖父は地主だったので土地がいくらでもあるのに、なぜ他人の土地に埋められたのか。

それは、風水で占ったときの適地だったからだ。すると、我が一族の墓地にある見知らぬ墓も、風水がいいという理由でそこに埋められたのだろうか。

これもまた、日本と違う韓国のビックリである。

(文=康 熙奉〔カン ヒボン〕)
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2017.10.26