「コラム」仁祖(インジョ)はなぜ光海君(クァンヘグン)の斬首を拒んだ?

王妃の強い主張とは?

仁祖と仁穆王后のやりとりを『朝鮮王朝実録』から見てみよう。
仁穆王后はこう言った。
「奴(光海君のこと)は同じ空の下で一緒に住むことができない仇(かたき)です。長く耐えてきましたが、私が直接奴の首を斬り落としたい。10年間の幽閉生活を生きのびてこられたのは、ひとえに今日という日を待っていたからなのです。ぜひ仇(あだ)を討ちたい」
こう主張する仁穆王后に対して、仁祖の家来が答えた。
「昔から追放された君主について、臣下の者たちがあえて刑罰を論じることはありませんでした。今まさに下された命令を受け入れることは難しいのですが……」

すると、仁穆王后は仁祖に向かって強く言った。
「即位して私の意をくんでくれるのならば、私のために復讐するのが孝行というものではないですか。奴は自分で道理を破り、私にはかならず晴らさなければならない怨みがあり、これだけは絶対に譲ることができないのです」
光海君を斬首にせよ、という仁穆王后の言葉は強烈だった。(3ページに続く)

2017.07.23