賑わいを見せる鶴橋の市場
済州島らしい味
市場を歩いていて目立つのが、キムチをズラリと並べた食堂や、華やかなチョゴリで飾った服装店である。
その光景を見ていると、つい新大久保と比べてしまう。成り立ちがまったく違うというのに……。
たとえば、東京の新大久保は、過去30年の間に韓国から来た人たち(いわゆるニューカマー)によってコリアンタウンが形成された。
韓流がブームになるにつれて新大久保が賑わったのも、そこには「韓国の今」があふれていたからだ。
チョゴリを売る店の色彩は本当に華やか
鶴橋には焼肉店が軒を並べる通りもある
しかし、鶴橋は違う。
戦前から大阪に住み着いた「在日」の人たち(済州島〔チェジュド〕の出身者が多い)とその子孫が、鶴橋周辺の市場や商店街を活性化させてきたのである。
実際、鶴橋でキムチを食べると、済州島らしい味がする。
私(康熙奉〔カン・ヒボン〕)の母も済州島出身なので、鶴橋のキムチは子供の頃から親しんできた味で、本当に懐かしい。(ページ3に続く)