韓国では出世するために、この三つの要素が絡んできます。血縁では名だたる両班の出である方が箔がつきます。私の場合を例にとりますと、一応名門の安東権の出です。一応と申しますのは、実際は正当な流れをくんだ形跡がなく、戸籍法が変わって平民でも苗字がつけられるようになってから、祖先が名家の「安東権」(現存する最古の「族譜」が残っている名門)を名乗ったのかもしれません。なぜなら名家を誇る家柄は始祖から数えて何代目なのか名前にその証が入っているからで、私の場合はそれが反映されていません。
たとえば、三十一代だったら「丙」の文字が名前に入り、権丙◯となります。丙という字の上の画一=数字の「一」に値し、三十二代だと「重」という字が入ります。「重」の下の画が「二」を表しています。続いて「泰」、「寧」、「五」となり三十六、三十七、三十八代が「赫」「純」「容」となります。私の場合名前が「鎔大」ですから、この原則に従うと三十八代の「容」に該当します。
けれども、おばの名前に「泰」という字が入っているので、「鎔」の発音が三十四代の「寧」と似ていることと、現在「権」という姓は三十三~三十五代が多く、三十八代では権の姓の人と会うたびに相手を敬わなければなりませんので、根拠なく三十四代を名乗っているわけです。
韓国は苗字が少なくこのように名前も家柄によって一字を義務的に付けますので、同じ名前の人が多くなりますので気をつけてください。また、この法則を知ればどんな家柄の何代目かその人の背景がわかります。
いきさつはどうであれ名家の血筋を持った姓を名乗り、学縁ではソウル大学卒業という看板、家内が女子校の名門梨花女子大学、長男と次男が私学の雄、延世大学と高麗大学出身ですから、学閥の面でどこかと繋がっています。実力はともあれ名門大学を網羅しています。
地縁の面においては、私の本籍が朴正熙大統領をはじめ現代まで五人の大統領を輩出した慶尚北道、家内が釜山で二人の大統領を輩出した慶尚南道出身、長男の嫁が多くの総理大臣を輩出した全州で全羅北道、次男の嫁が金大中大統領の出身の全羅南道の麗水(海洋博が行われた都市)ですから、韓国の有力地域を全てカバーしています。
この経歴は大統領候補になれる全ての条件を兼ね備えています。名門の血筋、韓国の名門校を網羅した家族を含めた学縁、歴代十人のうち八人の大統領を輩出した地域をカバーしているわけですから、韓国においては申し分のない経歴ですので大統領選に出馬することも考えました。
ですが肝心の本人の能力がないことを他の誰よりも知っているだけに、残念ですがあきらめました。
●もっと韓国を知るためのことば
ヒョリョン ハギョン ジヨン 血縁、学縁、地縁
韓国ではいろんな分野で「血の繋がり」「学閥」「地域の縁故」が物をいうときが多々あります。法律で一刀両断すべきですが、韓国では様々な「しがらみ」が左右することがあります。
文=権 鎔大(ゴン ヨンデ)
出典=『あなたは本当に「韓国」を知っている? 』(著者/権鎔大 発行/駿河台出版社)
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