最近、私が出演してきた映画は悲劇的なものが多く、観客の方々が胸を痛めながら劇場を後にするような作品がほとんどでした。私自身も楽しく撮影できて、みなさんにも楽しくご覧いただける作品をやりたいと思っていたとき、ちょうどこのドラマとめぐり合いました。『紳士の品格』は40代のラブストーリーですが、マジメ過ぎず、明るく描かれているところが私の希望と合ったのでこの作品を選びました。
12年ぶりにドラマに出演することになり、俳優の立場としては映画もドラマも演技をするという点では同じですが、現場での呼吸や流れ、テンポなどは映画よりもドラマのほうがずっと速いので、撮影の序盤はそういった点で少し苦労しました。
とてもストレートな性格で、相手の気分や感情への配慮がありません。自分の思ったことをズバズバと言うタイプですね。相手の短所も無遠慮に指摘します(笑)。かなり正直ではありますが、配慮がないという……一言でいうと“ムカつく奴”ですよね(笑)。こういうキャラクターの魅力は、ごまかしたり嘘をついたりしない正直さだと思います。かなり好き嫌いが分かれるキャラクターだと考えました。そこで僕としては、キャラクターの独特な魅力を生かすためにコミカルなシーンをより大げさに演じたり、不器用でちょっと抜けた部分もたくさん見せたりして、視聴者に愛されるように努力しました。
感情表現の違いがあったと思います。ドジンはストレートですよね。私自身はああいう表現に慣れていません(笑)。特にイスと一緒にいるときに愛情表現をしたり、気持ちをストレートに伝えたりするようなところは感情移入が難しかったです。ふだんの自分にはない部分なので、最初はとても苦労しましたが、演じているうちにおもしろくなってきて(笑)。しだいに楽しみながら演じるようになりましたね。
はい、だいぶ違うと思います(笑)。アハハハハハ! ――では、実際はどんな性格ですか? 感情表現が下手なほうです。ほら、韓国の男は「言わなくても分かるだろ?」という感じでしょう? このドラマから学んだのは「女性には言葉で言わないと伝わらない」ということです(笑)。ドラマを通してそんなことを学びました。
かなり多かったです。特に愛情表現やスキンシップのシーン。それから後半のハンドクリームを塗ってあげるシーンなどは、「うわぁ。ふだんの自分じゃできないな……」と(笑)。演じてみると、おもしろさもありました。演じながらムズムズしたりもして。
当時と少しも変わっていませんでした。私はあの頃よりだいぶ老けたのに、キム・グァンギュさんは当時は年齢より上に見えて、今はむしろ実年齢よりお若く見えるようです(笑)。まったくお変わりなくて驚きましたし、久々に映画を撮影したときのことを思い出しました。とてもおもしろかったです。おそらく視聴者の方々にも楽しんでいただけたのではないかと思います。
アクションや戦争映画などの作品が続いていたので、それらに比べると体力的なつらさは少なかったです。先ほども少しお話ししましたが、ドラマの撮影は時間との戦いなので、体力面だけでなく精神的な苦労もあります。そうした呼吸とテンポについていくのが大変でした。
「キム・ドジン語録」というものが生まれるぐらい(笑)、キム・ドジンの台詞にはおもしろいものや印象的なものが多かったと思います。私が気に入っているのは、最初にイスに靴を贈って気持ちを伝えたときの台詞――「オレのところに来るときに履いておいで。晴れた日に。かわいく」。クサい台詞ですが、深い意味が込められていてよかったと思います ――「~ということで」と言うドジンの口癖が人気を呼びましたが、この台詞が流行語になりそうだと言う予感はありましたか? 「ということで」という言葉を使って脚本家のキム・ウンスクさんが台本を書いたのですが、実生活でこういう言い回しを使う人もいますよね? 台本読みで最初に集まったとき、監督がこの言葉を使っていました。それで「監督の口癖を取り入れたんだな」と気づいたのですが、1~2シーン撮った頃から 現場のスタッフたちまで「~ということで」を使い始めたんです(笑)。それで、当時から「ドラマの放送が始まったら流行語になりそうだな」と思っていました。
ドラマの撮影は移動も多く、人の多い場所でも行われます。「紳士の品格」の場合は異例なことですが、最も人通りの多い江南駅のド真ん中で走るシーンを撮ったりもしました。ドラマが始まる前の撮影と、放送が始まってからの撮影では市民の反応が違います。ドラマ撮影はみなさんにご迷惑をかけるものですが、あたたかく受け入れていただけましたし、撮影現場に集まる人もど