「コラム」キムチはただ、あなたは本当に「韓国」を知っている?

<Wコラム>キムチはただ、あなたは本当に「韓国」を知っている?

●キムチはただ
韓国人が日本に来て一番驚くのが食堂で漬物(キムチ)のお金を取ることです。「日本人はなんてみみっちいのか」と。韓国の食堂では基本的にキムチなどのお惣菜系はただですし、お代わりも当然のことです。食事をケチるのは韓国人の好みにあいません。少なくとも食べることには気前が良く、食べ残しても日本ほど気にとめません。全て合理的でキッチリしなければ気が済まない日本式にはついていけないのです。

赤坂に「ソルロンタン」(牛の肉、骨を煮込んで作るスープ)だけを扱っている韓国料理店があり、繁盛しています。この店は在日の既存の店とは違い、キムチや十種類ほどのおかずが付け足しで出てきます。もちろん、キムチ、カクテキは食べ放題です。ご飯と肉のスープが千五百円プラス消費税なので、決して安くはありませんが、心置きなくキムチのお代わりができるので、韓国人に大ウケです。いくら食べ放題と言ってもそうそう食べられるものではありませんが、韓国人の心を捉えているだけでなく、ひいきにしている日本人も少なくありません。

●取り皿
もともと韓国には取り皿はありませんでした。最近は日本や西欧にならって、どの家庭でも取り皿を使っており、チゲなどのスープ類も取り皿によそって食べますが、情緒的には「じかバシ」ならぬ自分のスプーンで直接チゲを食べるのが韓国式です。口に出し入れするスプーンをチゲの入った器に入れるのは非衛生かもしれませんが、取り皿は他人と距離を置いた仲間の行為として受け止められました。今は死語になりつつあると思われますが、日本にも「同じ釜の飯を食う」という仲間内の情がありました。

文=権鎔大(ゴンヨンデ)
出典=『あなたは本当に「韓国」を知っている?』(著者/権鎔大発行/駿河台出版社)

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2016.09.17