「コラム」(前編)軍楽隊ユンホについて一番知りたいことは?

2utYnat1eK1SWOv1469774504_1469774585写真=韓国陸軍公式サイトより

私(康熙奉〔カン・ヒボン〕)は、韓流スターと兵役に関する講演会を各地で行なっていますが、そのときに様々な質問を受けます。やはり、ファンが一番気になっていることを尋ねられるのです。そうした質問に答える形で、今回の記事をまとめてみました。2回にわたって掲載しますが、今回はその前編です。

 

質問1「そもそも軍楽隊って何ですか。これも軍隊ですか?」

銃を持って勇ましく進撃するだけが軍隊ではありません。勇壮な行進曲で兵士の士気を鼓舞するのが軍楽隊の本来の目的であり、さらに、軍隊の中で公式的な行事があるときに演奏をして盛り上げるという役目もあります。そういう意味でも軍隊には軍楽隊が欠かせないのです。

実際に、陸軍・海軍・空軍の各軍において、軍楽隊は相当な数があります。陸軍を例にとりますと、陸軍本部・陸軍士官学校・首都防衛司令部にある軍楽隊が最高レベルです。隊員は50人以上で構成されますが、多くは音楽大学で専門的に楽器を習得してきた人たちです。

次のレベルが、軍司令部・陸軍訓練所などに所属する軍楽隊です。35人前後で構成されていますが、隊員は音楽大学の入学実技試験を受けようとするくらいの技量を持っています。

実力的に三番目に位置するのが各師団に所属している軍楽隊です。はっきり言えば、力量はそれほど高くありません。新兵訓練中に「楽器を少しかじっていた」ことを買われて、軍楽隊に選ばれるというケースが多くあります。あるいは、作曲家・ピアニスト・声楽家・歌手が音楽の実績を評価されて軍楽隊に誘われる場合があります。

なにしろ、軍楽隊は木管楽器・金管楽器・打楽器で構成されますので、「いくらピアノを上手に弾けても」「歌がどんなにうまくても」基本的に居場所がないわけです。そこで、作曲家・ピアニスト・声楽家・歌手の場合は、木管楽器・金管楽器・打楽器のいずれかを習得するという条件で各師団の軍楽隊に入ってきます。

ユンホの場合は、打楽器奏者として第26師団の軍楽隊に入ってきました。彼のことですから、必死になって太鼓やドラムの練習に励んだと思います。

 

質問2「各師団の軍楽隊というのは、どういう構成になっていますか?」

師団クラスの軍楽隊ですと、メンバーは25人前後です。師団本部の所属となりますので、師団の中では一目置かれた存在です。

軍楽隊の隊長は、中尉か大尉クラスの職業軍人が担当します。音楽を専門的に学んだ人がほとんどでしょう。

25人の隊員の内訳を見ると、クラリネット・フルート・サクソフォーンなどの木管楽器が10人前後、トランペット・トロンボーン・チューバなどの金管楽器が12人前後、シンバル・大太鼓・小太鼓などの打楽器が4人前後となっています。

ユンホの場合は、打楽器の4人前後の1人に入っているわけです。このような構成になっていますが、各メンバーは自分が担当する楽器を専門的にやってきた場合のほうが少ないのです。つまり、軍楽隊に入ってから本格的にその楽器を習う人もいて、それだけ猛練習が欠かせません。

しかも、兵役期間は陸軍の場合は21カ月ですから、ようやく上手になったら除隊ということも多いのです。そういう意味でも、軍楽隊として各楽器の担当者をまんべんなく配置させるというのが難しいといえるでしょう」

 

質問3「ユンホは上等兵になりましたが、師団の軍楽隊の中ではどういう位置づけになるでしょうか?」

軍楽隊といっても陸軍に所属していますので、陸軍の組織運営に従わなければなりません。陸軍においては、一番大きな組織は師団ですが、逆に一番小さい組織は分隊です。

分隊ごとにチームワークを固めていき、それから小隊→中隊→大隊と組み込まれていきます。

つまり、陸軍において団体行動の基本単位になるのが分隊ということです。軍楽隊もいくつかの分隊に分かれていて、1つの分隊の構成メンバーは5~7人です。ユンホは上等兵になりましたが、分隊長に指名されるのが軍楽隊では上等兵なのです。当然ながら、分隊のメンバーは自分より階級が下の者(一等兵・二等兵)になります。そうした部下の管理をきちんと行なうのが分隊長の務めです。

ただし、上等兵といっても、その中でも先輩・後輩の関係があります。陸軍の兵役期間の中で上等兵になっているのは7カ月間ですが、上等兵になって3カ月間はまだ後輩の部類に入り、先輩の上等兵から命令される立場です。ユンホは上等兵になって現在では2カ月ほどですから、二等兵や一等兵の管理をまかされている立場でしょう。つまり、部下の面倒を見させられるというわけです。

これがとても大変なのです。まだまだ楽器演奏が未熟な者を指導していかなければなりません。自分以外の人のことに時間を取られることが多く、からだがいくつあっても足りない心境だと思われます。

 

質問4「ユンホの場合、一般の市民が鑑賞できるステージに1年間で14回ほど登場していますが、その半分くらいが楊州(ヤンジュ)市で行なわれたイベントでした。開催場所がちょっと偏っていませんか?」

そんなことはないと思います。軍隊にとって、特に重要な役割が対民支援というものです。これは師団がある地域のみなさんに貢献するという任務です。

災害救援活動は当然のことですし、それ以外にも、農村であれば田植え・稲刈りを手伝うとか、地域の高齢者に代わって力仕事をするとか……こういう民間支援事業が欠かせないのです。

軍楽隊の場合も、地域のイベントに積極的に参加して、ステージを披露することになります。特に、楊州に駐屯している第26師団の軍楽隊にユンホがいることは、楊州市民なら誰でも知っているでしょうから、地域のフェスティバルに招聘されることも多いでしょう。可能なかぎり楊州市民の前に出ていくことも、軍楽隊の一員として大切なことだと思われます。

文=康 熙奉【カン ヒボン】

コラム提供:ロコレ
http://syukakusha.com/

2016.07.30

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