兵役の世界というのは、韓国の男子にとって「不思議な国」だ。未知数で、不安が先走り、ドキドキする世界なのである。話には聞いていても、経験したことがないのだから、「不思議な国」だと思ってしまうのも仕方がない。そんな場所で2年近くを過ごしたソンジェが、ついに戻ってきてくれた。
感無量のステージ
ソンジェにとっても、兵役に入る前は不安が大きかっただろう。超新星の他の5人と離れてしまうという寂しさもつらかった。
しかし、すべてをやり終えて、ソンジェは5月に戻ってきた。入れ代わるように、超新星の4人が兵役に行ってしまった。
これが現実とはいえ、まだまだ辛抱の日々は続く。
そんな彼を温かく迎えてくれたのが、7月19日の大阪公演に駆けつけてきたファンたちだった。
「2年というブランクがあったので、多くの方が来てくれるだろうか、と心配していましたが、空席がないほど会場を埋め尽くしてくださったので感動しました」
そう言って、ソンジェはファンに感謝した。
同じように、7月21日には東京公演があり、ファンがソンジェの復帰を心から喜んでくれた。
感無量とは、この日のソンジェのためにある言葉だった。
『ありがとう』の歌詞の意味
2年間待ってくれたファンへの恩返しが、まずはソロアルバム『It’s Time』である。このアルバムの制作には、兵役中に感じた様々な思いが込められている。
「今回は1人で制作を行なったので、大変でしたし、寂しくもありました。けれど、その分、幸せも感じました」
そう語るソンジェ。何が、彼を幸せな気分にひたらせたのか。
その理由をソンジェは率直に語る。
「今回は曲のセレクト、衣装、PVなどにも携わり、超新星での活動ではお見せできなかった自分の魅力を伝えようと努力しました」
1人で何でもやらなければならなかったからこそ、あふれるほどの「やり甲斐」も感じたのである。それこそが、復帰したソンジェが一番味わった幸せであった。
ソロアルバム『It’s Time』には、『ありがとう』という、そのものズバリの曲もある。この曲に込めたソンジェの思いとは?
「『ありがとう』という曲は兵役の間、ファンの皆さんに伝えたかった思いを込めた曲です。みなさんには、歌詞をしっかり聴いていただきたいです」
ソロアルバム『It’s Time』のリリースは8月10日。そのときに初めて、ソンジェがファンに一番伝えたいことが、『ありがとう』の歌詞を通して明らかになる。ファンも待ち遠しくて仕方がないだろう。
自分の忍耐力に気づいた
ソンジェが面白いことを言っていた。
兵役中の嗜好の変化について、である。
「今まで甘い物が好きではなかったのに、兵役中は甘いものが食べたくなりました。でも、除隊したら甘いものは食べたくなくなったので、不思議だなと思いました(笑)」
これこそが、ソンジェにとって兵役が「不思議の国」だった証だ。彼は別世界に行って甘いものが急に好きになり、戻ってきてまた甘いものとは縁がなくなった。やはり、兵役中は「自分であっても、自分でないような」感覚にとらわれていたのだろう。それが嗜好の変化として現れていたのだ。
ただし、ソンジェはハッキリと「自分にもこんなに忍耐力があるんだということに気づきました」と言っている。「不思議な国」の体験が、ソンジェをひと回りもふた回りも大きくしたのである。
そんなソンジェのステージを見るのが、ファンにとって至福の喜びだ。
「2年ぶりに日本に帰ってきましたが、温かく迎えてくださり、本当にありがとうございました。日本でも韓国でも、頑張って活動していきますので、見守ってください。そして、ソロアルバムもぜひ応援してください!」
いよいよ、「不思議な国」から戻ったソンジェの本格的な活動が始まった。
文=康 熙奉【カン ヒボン】
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