「取材レポ」韓国大ヒット映画「暗殺」日本公開間近!“2回、3回と観る度に発見のある映画です”公開記念トークショー開催

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チョン・ジヒョン、イ・ジョンジェ、ハ・ジョンウ主演、韓国国内だけで1270万人を動員した大ヒット映画「暗殺」。1933年、日本統治下の満州、上海を舞台に、日本政府要人暗殺計画のために集められた殺し屋たちの運命を描いたアクション映画で、日本では7月16日から公開される。このほど映画「暗殺」の公開を記念し、作品の魅力や見どころについて語るトークショー「『暗殺』公開記念・韓国アクション映画の魅力2016」が7月9日(土)、東京・ネイキッドロフトにて開催された。作家の康熙奉(カンヒボン)氏、フリーライターの西森路代氏、映画秘宝チームの岡本敦史氏が登壇、多田遠志氏が司会を務め、「暗殺」についてはもちろん、韓国映画ファンにとってはとても興味深い映画の裏話まで披露した。

まず映画を観た感想として康熙奉氏は「よくできた娯楽映画です。監督が『10人の泥棒たち』を作ったチェ・ドンフン監督だったので、この監督が次にどんな作品を撮るのかというワクワク感がありました。キャスティングもいいし、1000万人を突破する要素がたくさんありました」と述べた。また公開初日に韓国で観たという岡本氏は「平日なのに満席でした。韓国でもすごい人気のあった映画です。『10人の泥棒たち』とは集団である計画を練って事に当たるという点では同じですが、今回はまた少し違ったアプローチがありましたね」と続けた。

DSC_34732岡本敦史氏、西森路代氏、康熙奉氏、多田遠志氏

最近の日本での韓国作品の公開について西森氏は「昔は女性が喜ぶようなラブコメが多かったと思いますが、最近では社会派ドラマや映画など、作品性の高いものが認識されるようになったと思います。フジテレビで韓国ドラマ『未生』がリメイクされるなど、昔とは変わってきたな、また違った韓流の流れが日本に来ていると思います」と話し、観客の注目を集めた。

また今回の映画の舞台である1933年という時代について康熙奉氏は「植民地時代の映画は当たらないという通説があったんです。だからこの時代をテーマにした作品というのはあまりなかったんです。この時代の作品であり、それをエンターテインメント作品にするというのは器量がいること。この映画は死ぬか生きるかという時なのにユーモアがすごいんです。観客をいかに楽しませるかという監督のサービス精神が出てますね」と語ると西森氏も「この映画がきっかけでこの時代の映画が増えてきましたね。大杉連さんの出演する『大虎』もこの時代ですよね」と繋いだ。

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次に話題は今作の主演俳優たちへ。独立軍最高のスナイパーを演じたチョン・ジヒョンについては司会の多田氏も絶賛。「スナイパー役ということで相当訓練をしたんだなというのが分かりました。マシンガンをぶっ放すシーンがあるのですが、普通女性だったら倒れてしまったり目をつぶってしまったりすると思うんです。でも彼女はそうではなくて。女性であれだけできるのは珍しいと思います」と話した。岡本氏も「屋根づたいに飛びながらのアクションシーンがありますが、それも本当にすごくて。『10人の泥棒たち』でも根性のすわっている女優さんだなと思いましたが、日本でここまでできる女優さんはいないと思います」とチョン・ジヒョンの女優魂に言及した。

韓国臨時政府の警務隊長を演じたイ・ジョンジェについて康熙奉氏は「今回の映画で何と言ってもイ・ジョンジェの演技には注目です。本当に素晴らしかった。密偵という難しい役どころでしたが、最後の最後まで役者として魅せるなと思いました。相当な役作りをしたと思います」と話すと西森氏も「トップ俳優が受けていいか悩む役どころですよね」と賛同した。
さらに康熙奉氏は「密偵の役ですからイメージダウンになる危険性もありますよね。監督への信頼もあったのだと思います」とし、岡本氏も「最近は人に嫌われることを恐れていないですよね。それがこの俳優の強みだと思いますし、今回がその極み」と評価した。殺し屋を演じたハ・ジョンウに関しても西森氏は「今回の役柄すごく好きでした。オ・ダルスとのコンビもよかったですし。大きなミッションが2つある中でハ・ジョンウがキーになってますね」と強調した。

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作品の中に表現されているテーマについて康熙奉氏は韓国が持っているという“ 恨(ハン)”の気持ちを挙げた。「こんなに思っているのに叶えられない、頑張っても運命には逆らえずうまくいかないという感情は韓国映画のクライマックスによく出てくるんです。今回『暗殺』にもその精神を感じました」と話した。そして「暗殺」というタイトルについては「朝鮮王朝の27人の王のうち6人は毒殺されているんです。毒殺はよくあることだったんです。ですから『暗殺』というシンプルなタイトルは韓国人にとってはさまざまな暗殺を想像させますし、それだけで関心を集めると思います」と話すと、観客も興味深く聞き入った。

康熙奉氏は「一回では分からない部分も多かったです。観れば観るほど発見がある映画なので二回、三回と観るのもいいと思います」と伝えると西森氏は「一回でも感動できますが二回目でこういうことだったんだ、と理解できることもありました。チョン・ジヒョンとハ・ジョンウの単純な恋愛関係ではない、同志のような男女の関係もうまく取り入れられています」と重ねた。
岡本氏も「衣装も見どころです。本当に細かいところまで気を配っている映画です」と見どころをアピール。
司会の多田氏も「歴史背景などを知らなくても、アクション映画として単純に面白い映画です」とつけ加えた。
チョン・ジヒョン、イ・ジョンジェ、ハ・ジョンウという韓国最高の俳優たちが集結し、キャストだけでも期待が高まる同作品だったが、今回の公演で見どころや映画に描かれる韓国社会の背景なども分かり、さらに映画が待ち遠しくなった。
日本公開がますます楽しみになる時間だった。

取材:Korepo(KOREAREPORT INC)

Crankin_4245710_1© 2015 SHOWBOX AND CAPER FILM ALL RIGHTS RESERVED.

映画「暗殺」
【STORY】
1933年、杭州。日本統治からの祖国独立を目指す韓国臨時政府は、日本政府要人と親日派を暗殺するため、独立軍最高のスナイパーのアン・オギュン(チョン・ジヒョン)、速射砲(チョ・ジヌン)、爆弾職人(チェ・ドクムン)の3名を上海に結集させる。臨時政府の警務隊長で、日本政府の密偵であるヨム・ソクチン(イ・ジョンジェ)は、彼らを招集する一方、仲間と政府を裏切り、巨額の報酬で“ハワイ・ピストル”と呼ばれる殺し屋(ハ・ジョンウ)に暗殺団3名の殺害を依頼する。ヨムの画策を知らぬまま、暗殺実行のため、上海から京城(現・ソウル)へと送り込まれた彼らには、非情なまでの運命が待ち受けていた…。

監督・脚本:チェ・ドンフン『10人の泥棒たち』
製作:アン・スヒョン、チェ・ドンフン
脚本:チェ・ドンフン、イ・ギチョル
撮影:キム・ウヒョン
出演:チョン・ジヒョン、イ・ジョンジェ、ハ・ジョンウ、オ・ダルス、イ・ギョンヨン、チョ・ジヌン、チェ・ドクムン
【2015年/韓国/139分/5.1chデジタル/カラー/原題:암살/字幕翻訳:小寺由香】
配給:ハーク  © 2015 SHOWBOX AND CAPER FILM ALL RIGHTS RESERVED.

7月16日(土)シネマート新宿ほか全国順次公開

「暗殺」公式サイト http://www.ansatsu.info/

2016.07.10