「コラム」『町の英雄』はかならずパク・シフの代表作になる!

f1309645522901934590写真=韓国公式サイトより

 

今までの概念は見事に覆されました。ドラマ『町の英雄』を見るまでパク・シフの代表作は『王女の男』に違いないと思っていたのですが、今は2016年1月から3月まで韓国のケーブルOCNで放送された『町の英雄』が一番です。

 

パク・シフの魅力が満載のドラマ

『王女の男』ではダークな魅力が満載のパク・シフでしたが、『町の英雄』ではクールな中にも温かさを兼ね備えた元スパイを演じています。

元スパイと聞いただけで、パク・シフの鍛え上げられた肉体と華麗なるアクションシーンは容易に想像できますよね。

このドラマは元中央情報局秘密要員であるペク・シユン(パク・シフ)が、後輩の無念の死の復讐のために悪に立ち向かう姿を描いた作品です。

スパイもの、アクションものは私にとっては少々苦手分野だったので、見る前はあまり期待をしていませんでした。

それでも、パク・シフが『清潭洞(チョンダムドン)のアリス』以来3年ぶりの満を持して主演したドラマということで、“これは、おもしろくないわけがない”と勝手な直感が働きました。

韓国ではあまり視聴率がふるわないドラマでしたが、視聴率というのはその時の放送環境によって随分左右されるものですし、それを証明してくれたのがこのドラマではないかと思います。

 

f1309645526488397580写真=韓国公式サイトより

 

権力に翻弄される人々

この世の中で、悪と権力を切り離すことはできません。

人はなぜ、権力に翻弄されてしまうのでしょう。

このドラマにはお金のために権力に翻弄されざるを得ない人間たちがたくさん描かれています。

この世に生まれ持っての悪人はいません。

良心の呵責にさいなまれながらも、大切な家族を守るため黒い世界に手を染めていく人々。やらなければ、自分がやられるのです。

一番上に上り詰めなければ、結局どこかで捨てられるという悪のスパイラルに巻き込まれていく人々の苦悩は、見ているほうも緊張の連続です。

とにかく、単なる悪との戦いだけで終わらないのがこのドラマの特筆すべきところでしょう。

ペク・シユン(パク・シフ)が経営する「BARお隣さん」には様々ないわくつきのお客がいます。

カンジュン警察署の刑事イム・テホ(チョン・ソンハ)

万年就活生のチェ・チャンギュ(イ・スヒョク)

シナリオ作家志望のペ・ジョンヨン(少女時代ユリ)

こういう人たちが、ペク・シユンの正義感溢れる温かい人柄に触れ、次第に団結するようになっていきます。

 

全員が町の英雄になる

「いい人の周りにはいい人が集まってくる」

このドラマを見ていると、その公式が浮かび上がってくるような気がします。

悪に手を染めていた人々が他人のちょっとした温かさに触れたり、愛する人の一言でふと我に返ったりする……。

殺伐としていた序盤からは想像できないほど、中盤からは小気味よく展開し、視聴者をぐいぐいと引き付けます。

そして、ペク・シユンの悲しい復讐劇はいつのまにか町の希望に変わり、町の団結力で悪をなぎ倒していきます。

そこではもう、全員が町の英雄です。

なお、『夜を歩く士(ソンビ)』ではちょっと不気味な吸血鬼に扮したイ・スヒョクでしたが、『町の英雄』では、警察官を目指す万年就活生のチェ・チャンギュを好演しています。

ジョンヨン(少女時代のユリ)に淡い恋心を抱くチャンギュが、シユンを師と仰ぎ、真の正義とは何かを模索しながら成長していく姿は、とても好感が持てます。

このドラマでイ・スヒョクのファンもかなり増えるのではないでしょうか。

最終話での彼のラブラブなセリフにはあまりに可愛くて笑ってしまいますが、それは見てのお楽しみです。

とにかく、「正義は必ず勝つ」ということを信じたくなる作品です。

パク・シフの小気味いいほどの快進撃と、どこから見てもただただ美しい姿に酔いしれながら、パク・シフのファンの方もそうでない方も、このドラマを見てぜひ「スカッ!」としてください。

 

文=朋 道佳(とも みちか)

コラム提供:ロコレ
http://syukakusha.com/

2016.05.09