「東方神起」、「BoA」、「少女時代」、「SHINee」、「EXO」、「SUPER JUNIOR」など、有名アイドルの所属事務所として有名な韓国の「SMエンタテイメント」。「SUPER JUNIOR」ヒチョルが「SMエンタテイメント」が韓国の有名オーディション番組「K-POPスター」から下りた理由を説明した。
6日、彼がレギュラー出演している韓国のゲーブル衛星テレビ「JTBC」の討論バラエティー番組「舌戦」(ソルチョン)では、昨今韓国で流行っている「オーディション番組」がテーマだった。
ゲストの1人は、「数あるオーディション番組の中で『K-POPスター』の参加者レベルが高く維持されている理由は、審査委員たちがデビューの決定権を握っているからだ。」と分析。シーズン2までの審査委員は3人で、「YGエンターテインメント」の社長ヤン・ヒョンソク、「JYPエンターテインメント」の社長パク・チニョン、「SMエンタテインメント」の役員でアーティストの「BoA」だった。
また、あるゲストは、「『K-POPスター』の場合、3人の審査委員のうち1人からでもラブコールを受ければデビューが保障されるシステムだから実力のある参加者たちにとっては非常に魅力的だ。自力で芸能プロダクションを探し回る必要もないので、とても効率的。」と好評。
続いてヒチョルに質問が向けられた。 「『SMエンタテイメント』は『K-POPスター』のシーズン1と2には『BoA』を審査委員として送り出す形で参加していたが、今年のシーズン3からはなぜ参加しなくなったのか?SM内でしっかりと練習生(研究生)生活をしなければデビューのチャンスは与えないとの話があるが、本当か?」
この質問に対してヒチョルは自分の所属会社の方針を代弁、「自社の練習生を優先して育成しなければならないという責任感や義務感を持っている。このため、『BoA』が審査委員だった時も実はキャスティングには消極的だったようだ。これが番組的には問題となったので今後は参加しないことにしたのでは」と答えた。
「SMエンタテインメント」、「YGエンターテインメント」、「JYPエンターテインメント」の3社。2000年代以降、韓国の3大芸能プロダクションとして、特に音楽ビジネスにおいては圧倒的な影響力とフロンティア精神を発揮してきた良きライバルだ。
一応ライバル企業同士でもあるので、音楽に対する趣向やマーケティング戦略などにおいても常に差別化を図ろうと必死の経営を展開している。もちろん、新人の育成においても同じ。
今回のヒチョルの代弁でも分かるように、「SMエンタテインメント」は自社内の研究生システムをすごく大切にしているようだ。そして、新人のアーティストに求めるレベルも非常に高いので、未熟な研究生たちをメディアにさらすことはあまりしない。イメージ戦略としてはどちらかと言えば「神秘主義」を好む傾向だ。そしてこの会社は、大手3社の中で最も日本と関係を結んできた企業だ。
アイドルグループ「神話(SHINHWA)」の全盛期の頃から、日本の「エイベックス(avex)」とは業務提携締結を結び、自社のロールモデルとして位置づけていた。それと同時に「ジャニーズ事務所」とも良好な関係を築きながらベンチマークしてきた経緯がある。
大勢の研究生を大事にしながら自社アーティストと相乗効果を図っていくところも、と「ジャニーズ事務所」からの影響かもしれない。しかし、日本の大手プロダクションを真似るだけではない。良いとこ取りをしてから、さらに自社内で洗い直す作業によって「SMエンタテインメント」独自の文化として生まれ変わらせているところが彼らの強み。ここだけを見れば、スマホ端末で世界のトップウェアを勝ち取った「サムスン(Samsung)」とも通ずるところがあるといえる。
一方、「BoA」が5作連続でミリオンセラーを達成し、「東方神起」も軌道に乗ってきた頃までは、「SMエンタテインメント」の売上はまだ「エイベックス(avex)」の100分の1程度だと言われていた。しかし、今では、日本企業を懸命に学習し、乗り越えようとするベンチマーキングが実り、韓国を代表する総合エンターテインメント企業に進化した訳だ。
「K-POPブーム」という追い風があったのかもしれないが、見事な飛躍ぶりである。ただ、その飛躍ぶりの裏に隠されてしまい、日本のエンタメ企業が支援したバックアップ内容は残念ながら韓国ではあまり知られていないことは悔しい。
いや、そこまで悔しむ必要はない。韓国のエンタメ企業は、今後も「東方神起」や「JYJ」、「2PM」、「BIGBANG」、「KARA」のような良質のアーティストを生み出し続けるだろうし、我々は何もない日常から抜け出て、「刺激」や「思い出」や「夢」を楽しめるだろう。そして、日本は多様性と創造力に溢れ、この100年間のアメリカがそうだったように、日本の文化は世界をリードするだろう。更に、韓国のエンターテインメントに素晴らしいシステムを伝授していた日本のエンタメ業界も結局は潤うからだ。