「コラム」失墜『テバク』 起死回生のシナリオ

e98b1acc6270e91c69df15d23a2c0705チャン・グンソクはテギルの感情を”眼差し”で語る(画像=韓国『テバク』公式ホームページより)

 

韓国ではKBS、MBC、SBSといった地上波3局が、ほぼ同時間帯にドラマを放送しているため、視聴率の推移に対する関心は日本よりも高い。当然、チャン・グンソク主演作『テバク』も同時間帯放送のKBS『町の弁護士チョ・ドゥルホ』、MBC『モンスター』との視聴率争いが注目されている。

 

ライバルはパク・シニャン

チャン・グンソクが久しぶりにドラマ出演を果たすということで、放送前から大きな注目を集めてきた『テバク』。前評判通りに初回は同時間帯ドラマで首位の座を射止める好発進を決めた。

しかし、話数が進むにつれて、大物俳優パク・シニャン主演作『町の弁護士チョ・ドゥルホ』に押されて、トップの座から失墜してしまった。

『町の弁護士チョ・ドゥルホ』は、検事からホームレスにまで失墜した人物が町の弁護士として再起する波乱万丈なストーリーと、スピーディーな展開が好評を博している。

確かに『町の弁護士チョ・ドゥルホ』は面白い。名優パク・シニャンの熱演も相まって、これからも『テバク』最大の敵として立ちはだかることは間違いない。

しかし、『テバク』もライバルの独走を指をくわえてみているわけではない。むしろ、史実と創作を巧みに融合させた緻密なシナリオと、新たな姿を見せるチャン・グンソクやチョン・グァンリョル、チェ・ミンスといったベテラン俳優たちの高い演技力は、これからの巻き返しに大きな期待がもてる。

 

2P俳優として新しいステージに上ったチャン・グンソク(画像=韓国『テバク』公式ホームページより)

 

蒔いた種が芽吹く後半が勝負!

『町の弁護士チョ・ドゥルホ』の売りでもあるスピーディーな展開は、物語に制約のない現代劇ならではだろう。

一方の『テバク』は、時代劇という枠組みである以上、歴史を踏み外せば大きな批判が起きる。その結果、丁寧な歴史とのすり合わせを行なう影響で、どうしても展開を早めることが難しい。

むしろ、時代劇の本領はある程度の“積み重ね”が終わった後半に入ってからだ。

特に、1~2話をかけて描かれたテギル出生の秘密。史実では死んだとされる王子の存在が、物語にどう影響するのか。歴史を知っているからこその楽しみがある。

また、『テバク』の見どころは何といっても、出演俳優たちの熱演にある。特に俳優チャン・グンソクの新境地が見逃せない。

チャン・グンソクの演技で称賛したいのは、なによりも“眼差し”だ。彼の“眼差し”はセリフ以上にテギルの心情をうまく語っているのだ。

「目は口ほどに物をいう」

チャン・グンソクは『テバク』を通して、俳優として一段上のステージに成長した。それが、チェ・ミンスやチョン・グァンリョルといったベテラン俳優たちの重厚な演技に負けていない。そして、登場人物たちが実に生き生きとして、まるで実際にその場で見ているような錯覚さえ覚える。

実際、韓国『テバク』公式ホームページにも、「70分が1分のように感じました」「あぁ、『テバク』が1週間ずっとやればいいのに……」といった熱狂的なファンの声も多く上がっている。

王者から挑戦者となった『テバク』だが、蒔いた種が芽吹いてくる後半こそ本当の勝負になる。ライバルは強大だが、応援を続けていきたい。

 

(文=「ロコレ」編集部)

コラム提供:ロコレ

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2016.04.13