第3回/共演者ヨ・ジング
演技に貪欲な名子役
3月23日にソウルで行なわれた『テバク』の制作発表会で、チャン・グンソクは共演者のヨ・ジングを「恐ろしい俳優です」と表現した。
かなり後輩にあたる俳優の何が恐ろしいのか。
子役出身のチャン・グンソクだからこそ、同じく子役で実績を積み重ねてきたヨ・ジングの凄さがわかるのであろう。
「子役は大成しない」と言われる韓国芸能界で、それを覆したのがチャン・グンソクであり、今はヨ・ジングがその後に続こうとしている。
ヨ・ジングは1997年8月13日生まれである。1987年8月4日生まれのチャン・グンソクとちょうど10歳の開きがある。
子役として出演した作品は数多いが、やはり『太陽を抱く月』と『会いたい』がよく知られている。
特に、『会いたい』の場合は役柄がとても難しかった。
この『会いたい』はJYJのユチョンとユン・ウネが共演したドラマだった。ユチョンは男性主人公のジョンウに扮したが、その子供時代を演じたのがヨ・ジングである。
彼の演技は大評判となり、大人のジョンウを演じたユチョンにプレッシャーを与えるほどだった。
熱心さも折り紙付きだ。彼は『会いたい』に出演したとき、監督と演技についてよく話し合ったいう。
「本当によく話しました。そのほうが監督と意思の疎通が図れるし、完璧に演じられると思います。僕は、質問やいいアイデアが浮かんだらすぐに話すタイプなんです」
演技に関しては何でも貪欲に吸収しようとするヨ・ジング。「小さい頃は演技がただ楽しかったんですが、今は演じることにとても魅力を感じています。飽きることがないんです」とも語っていた。
台本リーディングで笑顔を見せるヨ・ジング(写真/韓国SBS『テバク』公式サイトよ り)
頼れる兄貴のような存在
ヨ・ジングから見てチャン・グンソクはどういう存在なのか。
「グンソク兄さんも幼い頃から演技をされてきましたし、この作品(『テバク』)で初めてお会いしましたが、なんだか前から知っていた兄さんのような感じがします。本当に安心できる存在です」
このように、ヨ・ジングは“安心”を強調していた。頼れる兄貴、という感じなのだろうか。
『テバク』の中で、チャン・グンソクとヨ・ジングは兄弟という設定である。しかし、チャン・グンソクが演じるテギルは「捨てられた王子」であり、最下層の身分に落ちたイカサマ師だ。
一方、ヨ・ジングが演じる英祖(ヨンジョ)は朝鮮王朝の21代王。後に、後継者だった息子を処罰して餓死させるという事件を起こしているが、政治的には名君と称賛されている。
要するに、英祖とテギルは天と地ほどに差がついた兄弟なのである。この2人が国家と愛する人をかけて一世一代の大勝負をするのが『テバク』の骨子になっている。
当然ながら、ドラマでは緊迫した場面でのチャン・グンソクとヨ・ジングの絡みが多くなるだろう。
2人の対決シーンが楽しみだ(写真/韓国SBS『テバク』公式サイトより)
大いに刺激を受ける後輩
ヨ・ジングについて、チャン・グンソクは制作発表会で次のように評した。
「ヨ・ジング氏は本当に恐ろしい俳優だと考えたことがあります。台本リーディングのときもそう思ったし、演技に臨む姿勢が恐ろしいほど真摯です。特に、カメラの前では別人になるような俳優です」
こう語ったあとに、チャン・グンソクはさらに続けた。
「私と年齢差が10歳ありますが、演技のうえではそんな差を感じないほどです。僕にとってはありがたいですね。同じドラマに本当に良い俳優と出演できて……。楽しんでできると思います」
こうしたチャン・グンソクの発言はいろいろと示唆に富んでいる。
何よりも、同じ子役出身で着実に成長しているヨ・ジングの存在は、チャン・グンソクが「恐ろしい」とつぶやいてしまうほど刺激になっているのだ。しかも、何かと比較されることが当人同士はよくわかっている。チャン・グンソクも評価の面で負けるわけにもいかない。
たとえ10歳離れている先輩と後輩とはいえ、ドラマの中では熾烈なライバル同士であり、それは俳優の関係においても変わらない。
追いかけてくるヨ・ジングを意識すればするほど、チャン・グンソクは気持ちを引き締めていることだろう。
(文=康 熙奉〔カン ヒボン〕)
コラム提供:ロコレ
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