「コラム」ヒョンビンが乗り越えた海兵隊の訓練(中編)

245d5957c926cb69b2abbf6c4266d9fd

中編/深夜の丸太訓練

大きな壁が立ちはだかる

射撃訓練は陸軍と同様に軍人の基本となる軍務で、それを徹底的に行なうのは言うまでもない。その他に海兵隊ならではの訓練として、パラシュート訓練と降下訓練がある。

パラシュート訓練は、地上7階に相当する鉄塔の上からロープを伝わる形で降下する訓練で、実際にパラシュートで降りることを想定したシミュレーションを何度も行なう。

また、降下訓練というのは、岩壁の上から何十メートルも下の地面に降りることを想定し、ロープ1本を支えにして岩壁を降りていく訓練である。90度の絶壁を降りることも想定されているので、自分の両足で踏ん張りながらロープを使って降りた後は、体力を極限まで酷使した状態になる。

体力と言えば、訓練を通して行なわれるのが丸太体操である。それは、10人くらいで太い丸太を持ち上げて、整列したまま何度も屈伸運動を繰り返す訓練で、厳しい状況を想定して雨の中や深夜に行なわれる。

本当に何度も屈伸を繰り返すので、丸太の重みが肩に食い込んだり、なおかつ極限状態になるまで体力を消耗する。

たとえば、雨が降っていても上半身裸でやらなければならない。これは、体力強化とともに精神を鍛える訓練も兼ねている。そのため、雨の中とか深夜など状況が一番厳しいときに行なって、体力と精神の鍛錬につなげようというのだ。

このように、丸太体操は訓練生にとって乗り越えなければいけない大きな壁になっている。ヒョンビンも必死になって壁を越えようとした。

脱落していく人もいる

29803e30db4a8a6fa3311a82fd21346e雪の上でも裸で体力トレーニングを行なう(写真/韓国海兵隊公式サイトより

さらに厳しい訓練が続く。

今度はロープ渡り訓練である。それは、3メートルくらいの高さに吊った50メートルくらいのロープを腹這いになって進んだり、仰向けになって両手の力だけで渡っていく訓練だ。

もちろん、安全ベルトを着けているし、下には落下防止用のネットが張ってあるので命を失うことはない。ただし、そのロープを渡る辛さは、海兵隊の訓練生が恐れおののくほどなのだ。

ヒョンビンも「本当に辛い訓練でした」と素直に吐露している。

そういった訓練を継続して行なうが、さらに訓練時間を2倍にしたり、睡眠と食事の時間を半分にするという特別訓練期間も設定されている。そのときは、睡眠不足と苛酷な体力鍛練の両方に耐えなければならない。

本当に自分との戦いになるが、怪我人も続出する。しかし、その怪我も克服しなければいけないのである。

足首をねん挫したとか肩を痛めたとか腰痛が酷いとか、まさに満身創痍であり、身体が無事な人は1人もいない。それでも、訓練をしなければならないところに海兵隊の辛さがある。

脱落していく人もいる。ただ、海兵隊に志願してくるのは大体20歳前後の人が多く、一番体力がある時期なので、そういう意味では韓国中の体力自慢が海兵隊に集まってくると言っても過言ではない。

「他のみんなは凄い体力を持っているので、体力面では不安が大きいですね」

こう言いながら、ヒョンビンも本当に頑張った。

(文=康 熙奉〔カン ヒボン〕)
コラム提供:ロコレ
http://syukakusha.com/

2016.04.02