「コラム」日本と違う韓国のビックリ/第8回/実際に文字を作ってしまった国王

 

誰がハングルを作ったのか

画期的な訓民正音であるが、普及はそれほど進まなかった。やはりエリート層が抵抗し、漢字にこだわり続けたからである。せっかく新しい文字ができたのに、朝鮮王朝の公式文字は漢字のままだった。

一気に普及が進んだのは19世紀の末である。日本や欧米列強に干渉されていた時期に、民族固有のものを大切にする風潮が生まれ、その中で訓民正音が見直されたのである。また、優秀な国語学者が訓民正音を使いやすく体系化したことも大きかった。

その頃からこの文字は「ハングル」と呼ばれるようになった。「ハン」は「偉大」で、「グル」は「文字」。つまり、「ハングル」は「偉大な文字」という意味である。

日本の植民地から解放された1945年以降、ハングルは韓国の公式文字となり今に至っている。

ところで、世宗は訓民正音の創製にどのくらい関わっていたのか。

朝鮮王朝の正式な歴史書である「朝鮮王朝実録」にも、世宗が訓民正音を創製する過程がまったく記されていない。周囲の反対を想定して世宗が徹底的な秘密主義を取ったことが影響している。

しかし、様々な状況を考察すると、訓民正音の創製に世宗が主導的な役割を果たしたことは間違いない。もちろん、多くの学者が協力したであろうが、「世宗あっての訓民正音」なのである。

そういう意味で、「ハングルは世宗が作った」と言っても過言ではない。こうした実績が評価されて、世宗は朝鮮王朝最高の名君という評価を得ているのである。

それにしても、本当にビックリだ。今も使っている文字を600年近く前の国王が自ら作っていたとは……。

世界の言語学者の間でも、世宗の名は特に有名である。

 

(文=康 熙奉〔カン ヒボン〕)

コラム提供:ロコレ

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