不在期間に存在の重さを実感
初めて超新星を取材したのは2009年10月だった。
その前月9日に『キミだけをずっと』で日本デビューを果たした彼らは、3週連続でシングルをリリースするという華々しいスタートを切った。
とにかく、6人のメンバーが「粒揃い!」という印象が強かった。全員が180センチ以上という長身で、ルックス、歌唱力、ダンスが申し分なかった。
「よくぞ、これだけのメンバーが集まったなあ」
率直にそう思った。
その中でも、ユナクのリーダーシップが目立っていた。当時から彼は「愛知大学を卒業」と言われていて、日本語が堪能だった。取材のときも彼が先頭に立って、他のメンバーをリードしていた。
「日本でも成功するに違いない」
そう思わせる資質を彼らは持っていた。K-POPのグループもすでに日本で過当競争にさらされていたが、超新星は他と違う魅力を備えていた。案の定、その後の彼らの快進撃は、誰もが知る通りである。
けれど、心配した時期もあった。それは、2011年10月にユナクが兵役に入ったときだ。リーダーが一時的にグループを離れて、少し不安を感じさせたのも事実である。
しかし、心配は杞憂に終わった。ユナクが中心になって築いた結束力は、たとえユナクがいなくても緩むことはなかった。
そういう意味では、ユナクが兵役に入った不在期間に、むしろユナクの存在感を重く受け止めた。
俳優としてのユナク
カリスマ性があって日本語が堪能なユナクを放っておくわけがなかった。日本映画界が彼に白羽の矢を立て、ユナクは映画『無花果(いちじく)の森』に主演した。
彼はなぜこの映画に出ようと思ったのだろうか。その決意に至った背景を本人はこう語っていた。
「お話をいただいとき、DVや不倫、芸能界の薬物汚染など、すごく重い内容なので、最初は出演を断りました。その時期にちょうど日本でミュージカルの公演があり、その現場に監督と制作の方がわざわざ足を運んでくださいました。監督が『この役はぜひユナクさんにやってほしい。心配なことは何?』と聞いてくださったので、悩んでいることを素直に話しました。監督は『そういう部分は調整できるよ。大丈夫だから安心して』と言ってくださいました。僕の仕事場まで来てくださり、そこまで話してくださる方ならば、絶対大丈夫だと信じて出演を決めました。監督を信じて出演してよかったと思っています」
ユナクが演じたのは、日本に留学してジャーナリストをめざしている韓国人青年。この設定ならば、ユナクも「等身大で演じられるだろう」と思ったはずだ。ラブシーンもあったが、ユナクはファンにこう気持ちを伝えている。
「“俳優”としてのユナクを見てほしいと思います。僕がこの世界に入ってから、いろんなジャンルの仕事に挑戦したいと思うのは当たり前のことなのです。“超新星のユナク”が好きなファンは抵抗あるかもしれませんが、“個人としてのユナク”のファンならきっと理解してくれると思います。そして、応援してくれると信じています」
5人をがっかりさせたくない
ソロとしての活動が目立ってしまったが、リーダーとして超新星を守りたいという気持ちも強くなった。
「自分でも気づかなかったのですが、僕はみんなから言わせると“仕事中毒”らしいです。この前、休みをもらって1日休んだら、何だか不安になって結局事務所に行ってしまいました。仕事に関しては一度も逃げたことはないですね。ハードスケジュールも楽しいです。僕の下にメンバーが5人いるから、がっかりさせたくないという気持ちが一番です。最近はソロの活動も多いので心配する部分もありますが、他のメンバーが誇りに思えるお兄さんになろうと心がけています」
この言葉を通して見えてくるのは、最年長として超新星をこよなく愛するリーダーの姿だ。彼にとって超新星は“家族”であり、“故郷”である。
今はソンジェが兵役中で、他の4人も入隊してしまう。しばらく1人になるユナクは、3月20日に東京・代々木第一体育館で開かれた「東京ガールズミュージックフェス2016」に登場して、ソロとして曲を披露している。孤軍奮闘という感じだった。
5月にソンジェが戻ってくれば、今度は2人で超新星を守っていくのだろう。再び6人が揃うのは、早くても来年の末だ。
そのときまでユナクのリーダーシップは開店休業のような状態になってしまうが、今までもそうしてきたように、ユナクは他のメンバーの声を代弁しながら、超新星とファンの間をつないでいくのだろう。
(文=「ロコレ」編集部)
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