「BLACKPINK」の現在地が特に興味深いのは、メンバー個人の影響力がグループの名前と同じほど巨大になった点にある。
メンバーたちはそれぞれ多様な領域で独立したIPを構築した。今や“「BLACKPINK」のメンバー”という説明がなくても、それぞれが独自のブランドとして成立している。
K-POP業界では、個人活動のためにそれぞれ異なる会社に所属しながらも、グループとしての活動は継続する“別々に、また一緒に”という形が、新たな活動方式として定着している。「BLACKPINK」のような大型グループにとっては、極めて現実的な選択肢だ。
しかし、“別々に活動する自由”が大きくなるほど、“一緒に動く時間”にはより緻密な調整が求められる。
個人の活動スケジュール、各活動を支える組織、そしてグループとしての計画。それぞれが巨大になった状態で、全員が同じ方向を向く時間をどのように設計するのか。“別々に、また一緒に”という活動方式が定着したからこそ、そこには新たなマネジメントの課題も生まれる。
大衆音楽評論家のシム・ジェゴル氏は、この構造を“マルチIP・ワンチーム”と表現し、「チームが個人を育てる段階、個人がチームの価値を高める段階、これは有機的なサイクルとして回っていく」と説明した。
その上で、「予測可能な定期的かつ長期的な設計について、それぞれの所属事務所と各メンバーの間でどれだけ円滑に意思疎通できるかによって、“マルチIP・ワンチーム”という構造が相乗効果を発揮できる」と指摘した。
さらに「個人IPの成長が頂点に達すれば、それと共にチーム活動にも新鮮な起爆剤として作用する可能性がある」と語った。
つまり、個人活動の成功はチームの価値を弱めるものではない。むしろ、それぞれが別の場所で獲得した新しいファン、新しいイメージ、新しい経験を持ち帰れば、再び4人が集まったときの「BLACKPINK」は以前とは違う、さらに大きな力を持つ可能性がある。
その意味では、“個人か、グループか”という二者択一で考える必要はない。
重要なのは、“個”と“チーム”のどちらかを犠牲にすることではなく、巨大になった複数の個人IPを、必要な瞬間にどう“ワンチーム”として動かすのか。そのための予測可能で継続的な設計と、所属事務所やメンバー間の意思疎通だ。

■10周年イベントは一方的なイベントではなく、ファンとつづった“共同記録”
K-POPグループの10周年を見る基準も、変わる必要があるのかもしれない。
必ずしも巨大なコンサートや新曲、大型プロジェクトがなければ、成功した10周年にならないわけではない。重要なのは、これまでチームとファンが共に作り上げてきた時間を、どのような形で記憶に残すかだ。
特に10年間を共に歩んできたファンダムにとっては、デビュー当時から現在までのメンバーの成長過程1つひとつが、自分自身の思い出でもある。
シム・ジェゴル氏が「10年間の共同記録者として、それぞれが自分の人生をそこに重ねてきた。それに対する懐かしい思い出が存在する」と語ったのも、同じ文脈だ。所属事務所やメンバーだけではなく、ファンダムもまた10年という時間を共に作ってきた当事者だということだ。
さらに同氏は「どのようなコンテンツを企画するにしても、互いの存在を尊重し、『お疲れさま』と肩をたたき合えるような感情をきちんと込めた、意味のあるプロジェクトにするという趣旨が重要だ」と強調した。
これは、「BLACKPINK」の10周年を巡るファンの反応を見る上でも重要な基準となる。
ファンが求めているのは、必ずしも過去とまったく同じ形での完全体活動ではないのかもしれない。毎年アルバムを出し、常に4人で活動してほしいという単純な要求とも違う。
ただ、10年間を共にしてきた時間が今もメンバーにとって大切な意味を持っていること。そして「BLACKPINK」というチームが、華々しい個人活動とは別の場所で今も確かに生き続けていること。それを節目に実感したいという思いはあるだろう。
個人IPが巨大化した時代だからこそ、グループとして同じ時間を共有する価値はさらに高まっている。
1つの芸能事務所が全メンバーを管理していた時代を離れ、それぞれが世界を舞台に別々の軌道を描く。だからこそ、必要なのは単に4人を同じ場所に集めることだけではない。それぞれの活動を尊重しながら、チームとしての時間をどう設計し、ファンにどのような形で届けるかまでが、“ワンチーム”を維持するための重要な要素になる。
10周年とは、ただ数字を祝う日ではない。ファンにとっては、自分たちが好きになり、共に時間を重ねてきたチームが「今もここにいる」と確かめる日でもある。
だからこそ問われるのは、イベントの豪華さでも、用意されたコンテンツの数でもない。ファンがその時間を通じて、共に歩んできた10年の物語を「大切にされていた」と感じられるかどうかだ。
「BLACKPINK」の4人がそれぞれ世界的なブランドへと成長したことは、グループにとって間違いなく大きな財産だ。一方で、“個”が巨大になればなるほど、それぞれを再び「BLACKPINK」という1つの物語につなぐための調整と設計は、より重要になる。
今回の10周年を巡る反応が映し出したのは、“完全体か、ソロか”という単純な二者択一ではない。
個人として自由に、より大きく羽ばたきながら、節目ではファンが「やはりこの4人は1つのチームだ」と感じられる時間をどう作るのか。そこには、メンバーだけではなく、それぞれの活動を支える組織同士の継続的な意思疎通も欠かせない。
最も華やかな10周年だからこそ見えてきたのは、成功したK-POPグループが長く続いていくための、新しい宿題だったのかもしれない。
“別々に、また一緒に”は、別々に活動するだけでは完成しない。
巨大になった“個”を尊重しながら、それでも必要な瞬間には「BLACKPINK」という1つのチームとして動く。その仕組みをどう作り、10年を共にしたファンにどう届けていくのか――。
「BLACKPINK」の10周年が投げかけた問いは、これから同じ節目を迎えるK-POPグループにとっても、決して他人事ではない。
WOW!Korea提供









