
コンテンツ業界の危機感が、取り返しのつかないレベルに達している。業績の悪化により不安定な営業が続く中、「JTBC」から先に問題が表面化した。債務不履行により明らかになった「JTBC」の流動性問題は、やがてグループ全体に波及し、再生申請という崖っぷちに追い込まれた。
真っ先に番組制作にブレーキがかかった。「詐欺師たち」や「離婚熟考キャンプ」など、一部のバラエティー番組で放送休止が相次ぎ、下半期公開を控えていたドラマ「恋愛の再発見」は撮影が中断された。「放送メディア通信委員会」は、再承認審査の対象となっている「JTBC」の再承認可否を慎重に検討する方針を示し、チャンネルの存続そのものが問われる事態となった。
これまで、「JTBC」はドラマやバラエティーの制作費を積極的に拡大してきた。それだけに、業界では今回の事態に対する危機感がさらに高まっている。一つの放送局の存続問題では終わらないとの見方も強い。ミニシリーズ級ドラマの重要な編成枠を担ってきた「JTBC」の需要が失われれば、すでに飽和状態にある編成競争がさらに激化するのではないかとの懸念が広がっている。
ある中堅ドラマ制作会社の関係者は、「制作費の負担によって、もともと厳しかった市場環境が、編成枠の減少でさらに悪化するだろう」とし、「チャンネル傘下のスタジオや大手制作会社だけが生き残り、中小制作会社は赤字を抱えたまま生き残りを図らざるを得なくなる」と打ち明けた。
〇 「Netflix」なしでは生き残れない…一極集中が深刻化する懸念
こうした状況を受け、一部ではOTT最大手の「Netflix」への集中がさらに進むのではないかとの懸念が高まっている。現状では、韓国国内の制作業界の編成需要を十分に受け止められる唯一のプラットフォームと言っても過言ではないためだ。
「Netflix」は昨年だけで30本以上の韓国オリジナル作品を公開し、そのうちドラマだけでも15本を制作した。さらに、「SBS」とのパートナーシップを含むライセンス作品のラインナップも強化し、影響力を一段と拡大している。
あるバラエティー制作会社の関係者は、「『Netflix』の影響力が大きくなり、市場はコンテンツではなくプラットフォーム中心の構造へ完全に移行した」と指摘する。どの作品に投資し、どのような形で公開するかまで、すべてプラットフォーム側の判断に左右されるという。
さらに、「IP(知的財産権)の持続可能性を語る前に、まず作品で利益を出さなければならない。バラエティーはすでに地上波やケーブルテレビ中心の時代を脱して久しく、この流れは今後さらに加速するだろう」と見通した。
専門家らは、「Netflix」への依存が強まることで、産業全体にマイナスの影響を及ぼす可能性があると警鐘を鳴らしている。「Netflix」にも減少した編成需要をすべて吸収するだけの余力はなく、特定のプラットフォームが市場を支配する構造自体が、健全なコンテンツ生態系にとって望ましくないという指摘だ。
特に、K-カルチャーへの世界的な関心が高まる今だからこそ、制作力だけでなく、K-コンテンツを世界へ届ける「K-OTT」の競争力を強化し、海外展開を後押しすべきだとの声が強まっている。
K-カルチャーが世界の主流文化として定着するための“ゴールデンタイム”を逃してはならないという提言だ。
湖西(ホソ)大学のイ・ウォニ教授は、先月開かれた韓国メディア経営学会セミナーで、「K-OTTはK-コンテンツのグローバル展開を支える中核インフラ」とし、「K-カルチャー市場400兆ウォン(約40兆円)、コンテンツ輸出150兆ウォン(約15兆円)という政策目標を実現するためには、輸出効率の高いK-OTTを中核投資分野とすることが最も効果的だ」と述べた。
韓国コンテンツ振興院のキム・ジヒョンコンテンツ産業政策研究センター博士も、「K-コンテンツはすでに世界市場をリードする国家戦略産業へ成長した。グローバルOTT中心へと変化する流通構造に対応するためには、コンテンツ競争力だけでなく、流通・プラットフォーム競争力も同時に強化しなければならない」と提言した。
こうしたK-OTTの最前線に立つ事業者が「TVING」だ。
「TVING」は韓国国内向けプラットフォームの枠を超え、昨年末には世界18地域へ進出した。北米、ヨーロッパ、東南アジアなど主要市場でK-コンテンツの流通網を広げ、グローバルプラットフォームとしての存在感を高めている。海外展開とともに公開したオリジナルシリーズ「親愛なるX」は、グローバルプラットフォーム「Rakuten Viki」で108か国・地域で1位を記録。「HBO Max」でもアジア太平洋17の国・地域において、アジア作品の中で最高水準の成果を収めた。
このように「TVING」がグローバル市場で可能性を証明する一方、K-OTT生態系の切り札と期待される「TVING」と「Wavve」の合併は、実現しないまま3年目を迎えている。
両社は2023年末、合併に向けた基本合意書(MOU)を締結し、「Netflix」に対抗できる韓国発OTTの誕生に期待が集まった。しかし、「TVING」の第2位株主である「KT」が慎重な姿勢を示したことで議論は停滞し、計画は足踏み状態が続いている。
業界では、「TVING」が合併によって規模を拡大すれば、制作会社やクリエイターと連携したK-コンテンツのバリューチェーンを構築し、韓国コンテンツ産業の自立性向上と事業領域の拡大をけん引するとの期待が高い。
業界によると、「TVING」と「Wavve」の合併が実現すれば、新たなプラットフォームの月間アクティブユーザー(MAU)は1000万人規模に達する見通しだ。現在、「Netflix」の韓国国内MAUは1500万人台とされており、差は依然として大きいものの、国産OTTとしては初めて本格的な対抗軸となる可能性がある。
あるプラットフォーム業界の関係者は、「『JTBC』の問題は、逆説的に韓国独自のOTT生態系を本格的に育成する必要性への共通認識を広げる契機になり得る」と指摘。「K-OTTを巡る議論が適切なタイミングで進まなければ、“K-コンテンツ・ゴールデンタイム”は静かに過ぎ去ってしまう可能性がある。今こそ国産OTTが規模の経済を実現できる最後のチャンスだ」と強調した。
WOW!Korea提供







