まず目を引くのは、主人公ソ・ジュヨンが住む604号室の玄関扉に貼られた張り紙だろう。黒いマジックで大きく書かれている内容は、「頼むから静かにしてください」という趣旨となっており、少し不穏な匂いが漂う。ただ別カットでは、赤いマジックで殴り書きされた張り紙が残されており、「ぶっ殺すぞ うめき声 椅子の音 足音」といった物騒なメッセージが多数羅列されていている。明らかに険悪なムードが漂って、異様さを感じ取れるはず。近隣住民にも悪影響を及ぼすほどの怖音が、団地に轟いている事を示す証拠ともアイテムとも言える。
併せて届いたカットでは、これらの張り紙を作成した可能性が高いと思われる、504号室の住民男性の姿が確認出来る。真夜中にインターホンを鳴らして、604号室にいるソ・ジュヨンを訪問する不気味なシーンも捉えており、不適に笑う光景に寒気が襲ってくるはず。なんと彼は、包丁を手にしながら訪問している事が予告編で明らかとなっており、ジュヒの失踪に関わっている可能性も否定できない、究極に怪しい存在だ。
さらに確認出来るのは、団地の下には謎の巨大な空間があり異物が放置されている光景や、子供のイラスト帳に描かれた交通事故らしき絵と、“901”と血文字で書かれた気味が悪い描写を目の当たりにできる。また血を出しながら壁にすがる人物や、足に血痕が付着している赤いワンピース姿の女性も写しており、ホラー要素たっぷりな血塗られたカットも届いている。
2025年韓国で一番ヒットした、“音系”団地ホラーホラー映画を手掛けたキム・スジン監督は、「集合住宅は韓国で非常に馴染み深い建築物なので、慣れた空間をどう活かすかに悩みました。古すぎず、きれいすぎない、相応の規模を持つ団地が必要でしたが、理想の団地を見つけることが出来ました。怖音は、この映画において最も重要な要素で、いくつもの場面の音の表現をめぐって、音響監督と絶えず議論しました。“音がないこと”も一つのサウンド表現だと考え、いつ音を聞かせ、いつ沈黙を保つのか、そのタイミングについてたくさん話し合ったんです」と語り、観客を“ゾクッとさせる”ための工夫を明かしてくれた。
主人公の聴覚障がいを持つソ・ジュヨンが、耳を押さえながら怖音を遮断していたり、人差し指を口元に当てながら“静かに”というジェスチャーをしており、何か秘密にしたい事を示唆している事も伺い知れる。“怖音(ふおん)”の正体や恐怖の顛末を、ぜひ映画館で目撃いただきたい。
監督:キム・スジン
出演:イ・ソンビン、キム・ミンソク、ハン・スア、リュ・ギョンス、チョン・イクリョン他
2024│韓国│韓国語│93分│カラー│ビスタ│5.1ch│原題:『ノイズ(NOISE)』│映倫:G│字幕翻訳:朴澤蓉子│提供:ツイン、Hulu│配給:ツイン
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公式HP:https://soukansouon-movie.com
10月10日(金)新宿武蔵野館・ヒューマントラストシネマ渋谷ほか、全国ロードショー