「コラム」韓国の社会生活「引き出物」

韓国の結婚式は日本から見ると「異例」です。基本的に招待状は出さず、電話やメール、友人を通しての伝言などで参列者が集まるケースが多いのです。したがって、新郎か新婦の知り合いであれば、誰でも出席できます。ご祝儀もお金で出す人もいますが、プレゼントを渡す人も多く、高価なものなら友人との共同購入でも構いません。

かつては質素な結婚式を奨励!
韓国の結婚式では、式場内での席も特に決まっておらず、知らない人が紛れてもわからないほどです。
結婚式自体もあっさりしています。指輪の交換などをサッと行ない、新婦がブーケを投げる際に記念写真を撮ってお開きといった感じです。
食事はビュッフェ形式がほとんどで、引き出物も基本的にはありません。
こうした形式が多いのは、1973年に施行された「家庭儀礼準則」による影響が大きいと言えます。
この法律では、結婚式で引き出物などを出すこと禁止しています。
まだ暮らしが厳しい時代にもかかわらず、韓国人はプライドが高く見栄っ張りな人が多いので、借金をして豪華な冠婚葬祭を行なうケースがとても多かったのです。
そうした「無駄遣い」を戒めるために、当時の軍事政権は国民の冠婚葬祭に「質素」の概念を持ち込もうとしました。
質素な結婚式を奨励するために、1980年には高級ホテルで結婚式を挙げることも禁止になってしまいました。


しかし、韓国が経済成長を果たしたあと、状況が変わっていきました。
特に民主化が実現すると、プライベートの儀式まで法で縛るのは良くないという風潮になりました。
その結果、1997年に法律が大幅に緩和され、1999年には高級ホテルでの結婚式も可能になりました。
それでも、約四半世紀続いた法律で根付いた習慣によって、簡素な結婚式が多かったのですが、最近では高級ホテルでの豪華な結婚式も増えています。
それでも、結婚式で引き出物を出さないというのが未だに主流です。

文=「ロコレ」編集部
コラム:ロコレ提供 http://syukakusha.com/

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2024.07.27