韓国のドラマでよく見る場面……警察署で取り調べを受けて釈放されたとき、あるいは、刑務所で刑期を終えて出てきたときに友人が豆腐を持って待っていて、出てきた人に豆腐を食べさせています。あれはどんな意味なのでしょうか。
豆腐で身を清める
まさに韓国ドラマの定番です。警察署や刑務所から出てくるとき、迎えに出た友人や家族が豆腐を持っていて、出てきた人にそれを食べさせるシーンが多くあります。
それは決して警察署や刑務所の食事が栄養不足だからという理由ではありません。これは、「豆腐を食べることで新しく生まれ変われ!」という儀式の一つなのです。
出てきた人は今までの罪を悔い改めて新しい人生を始めなければなりません。そんな決意を、豆腐を食べることによって表すのです。まさに豆腐は再出発の門出を祝うご馳走と言えるでしょう。
そもそも、韓国で豆腐はとてもポピュラーな食べ物です。豆腐は栄養価が高く消化にも良いことから、あらゆる料理によく使われます。それでも、生まれ変わる儀式に使われるのは、真っ白な色が関係しています。
韓国人は服装などで原色を好みますが、そういうカラフルなファッションが多いからこそ、純白がかえってよく目立ちます。
民族的に「白は身を清めるというイメージ」がとても強いのです。それゆえ、警察署や刑務所から出てきたときは「豆腐を食べて身を清めて、新しい人生に踏み出そう」と友人や家族が励まします。
豆腐を食べる儀式というのは絵になります。
友人たちが「早く食べろ!」と催促し、当人があわてて口いっぱいに豆腐を入れるシーンというのは、どこかコミカルです。
それゆえ、韓国ドラマで多用されているのです。
韓国では食べ物で願をかけることがよくあります。
たとえば学生が受験するときに、両親が志望校の校門に水飴を片っ端からつけていく習慣があります。
水飴はよく粘って何にでもくっつきやすくなるので、合格とイメージがとてもよく重なります。
それで、両親が学校の校門に水飴をつけてまわるのです。
豆腐と水飴……。
みんなの願いがこもっている食べ物なのです。
文=「ロコレ」編集部
コラム提供:ロコレ
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