アカデミー賞受賞、ポン・ジュノ監督『パラサイト 半地下の家族』を世界で初の舞台 化。「244 本」もの映画を配給・プロデュースしてきた李鳳宇=LB。グローバル化する 映画界への提言を含め、すべてを語り、書き尽くすー-。

本書のサブタイトルは「ポン・ジュノ、ケン・ローチ、パク・チャヌクを発掘し、「月はどっちに出ている」「KT」「フラガール」を創った者としてー-。」。
LB――李鳳宇(リ・ボンウ LEE BONGWOO)。配給とプロデュースを手掛けた映画は「244」本。さらなる「+1」として、2023 年、『パラサイト 半地下の家族』の世界初舞台化を手掛ける。この「244+1」の全作品について自ら書きおろし・語りおろし。


『シュリ』の大ヒットにより、日本映画界におけるアジア映画の市場を築いた。『JSA』『復讐者に憐れみを』でパク・チャヌク作品を、『殺人の追憶』でポン・ジ
ュノを日本に紹介。イ・チャンドン、ホン・サンスなどアジアの名だたる作家の映画を公開してきた。韓国のトップ俳優、ソン・ガンホの作品を 8 本も配給している。今日の韓国映画・ドラマのムーブメントの礎をつくったのが李鳳宇=LB だったのだ。(付記するなら、台湾のエドワード・ヤンも『恋愛時代』『カップルズ』などを配給。)欧米に目を転じれば、イギリスのケン・ローチ、マイケル・ウィンターボトム、デンマークのスサンネ・ビア、アメリカのトッド・ソロンズ、フランスのパトルス・ルコント、ドイツのミヒャエル・ハネケ……と世界中の巨匠たちの初期からの作品を配給してきたことがわかる。

これだけの配給を行いながら日本映画の製作も行ってきた。『月はどっちに出ている』『フラガール』『パッチギ!』などの多くの名作を生みだす。さらに是枝裕和、岩井俊二、中島哲也、西川美和らの初期作品にもかかわってきた。現在、映画界のグローバル化が進展する中で「KT」という早すぎる日韓合作映画も手掛けている。


『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー賞の本賞を受賞し、配信プラットファームで大量の映画がつくられ、流れる時代。そんな時代の中で李鳳宇=LB は何を考えているのか?
「今回の舞台「パラサイト」は、東阪あわせて 46 公演ですが、これを英語で舞台化したら、きっと何百回と公演ができると思います。出演者も変わり、国も変わって、そして、設定も変わる。そうして形を変えて世界へ拡大していくことが、これからは大事なのではないでしょうか。僕はキャリアをたまたま映画から始めたけれど、これから映画にとどまる必要はないと感じていますー-」
(本書「LB 244+1」“グローバル化する映画”より)映画の過去・現在・未来への視点がそこにあるー-。

(2ページに続く)

2023.05.31