いきなりグァンイルの話から始めよう。『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』第7話の終盤、イ・ソンギュンが演じるパク・ドンフンが馴染みの店で飲んでいて帰ろうとしたら、店に走りこんできたジアン(IU)がドンフンに対して「もう少し飲みましょう」と声をかける。
彼の悲しみ
帰るつもりだったドンフンはジアンに誘われて、再び席についてジアンとビールを飲み始める。
徐々に打ち解けた雰囲気になっていった。
ドンフンはあえてジアンとビールジョッキで乾杯して「幸せになろう」と声をかける。
それから、2人でジョッキーを傾け合って飲む。
2人とも先にジョッキーを置かない。相手の様子をうかがいながら飲み続けている。
その様子がお互いに可笑しくなって笑い合う。
ジアンの笑顔がまぶしい。
その姿を店の外で見ている男がいた。
グァンイルだ。
チャン・ギヨンが演じている。
彼はジアンの後を付けて店の外まで追いついてきたのだ。
そして、窓の外から2人の様子を見ている。
ドンフンとジアンは気づかない。まさか、グァンイルが外から自分たちを盗み見ているとは夢にも思わない。
画面はグァンイルのアップになる。
彼は一心に見つめている……視線の先には「ジアンの、今まで見たことがない笑顔」がある。
そこで第7話が終わる。
見ている私にグァンイルの焦燥感が伝わってくる。
嫌な奴だった彼の悲しみが一瞬でも感じられた。
この「一瞬」に意味があった。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
人生を救ってくれた『マイ・ディア・ミスター』/第1回「主人公の2人」
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コラム提供:ロコレ