『私の解放日誌』は代わり映えしない日常から抜け出したいと願う三人兄妹が自由と生き甲斐を求めて奮闘する姿を描いた作品。『マイ・ディア・ミスター』の脚本家がペンを執ったことでも注目されている話題作だ。
度肝を抜かれたセリフ
イ・ミンギ、キム・ジウォン主演『私の解放日誌』は代わり映えしない日常から抜け出したいと願う三人兄妹が自由と生き甲斐を求めて奮闘する姿を描いたヒューマンドラマだ。隣に住むミステリアスな男との奇妙な縁によって、各々を縛り付けている「何か」から解放されていく過程を描く。
代わり映えのしない毎日を過ごす三兄弟がいる。通勤電車で都会と田舎を往復する毎日にうんざりするという彼ら。長女のギジョン(イエル)は火のような性格で遠距離通勤をしている間に青春を費やしてしまったと後悔している女性。愛のない人生なら出家してしまいたいとまで言い、それならその前に誰でもいいから熱烈に愛してみたいと願っている。
三兄妹の二番目である長男のチャンヒ(イ・ミンギ)は少し頼りなげではあるが憎めない人物。夢も欲もない無計画な人生がまさに計画だと自負している。「自分は海や川のように多くの水は動かせないが小雨のようにひっそりとたくさんの人を潤せる」などという言葉が自然に出てくるほど心持ちの優しい男である。
末っ子のミジョン(キム・ジウォン)は内気で気が小さく常に何か侘しさを抱えながら生きている女性。一度も満たされたことがない人生から解放されたいとある変化を試みる。本作の序盤でミジョンが放つ「私をあがめて」というセリフに度肝を抜かれた。
神か仏か、どこかの教祖ですらも言わないであろうこのフレーズをミジョンが酒浸りの隣人ク・ジャギョン(ソン・ソック)に対し躊躇なく言い放つ。ミジョンが自分自身を解放するために選んだ手段がミステリアスな隣人ク・ジャギョンとの秘密めいた交流だった。
物語はミジョンとミステリアスな隣人ク・ジャギョンとの交流を中心に展開していく。ク・ジャギョンに扮するソン・ソックの飄々とした存在感が本作の要だ。彼が放つ数少ない言葉には妙に重みがある。一言も聞き逃したくないと思えるほど崇高に感じるのはなぜだろう。
誰しもの心の中にミジョンやク・ジャギョンが潜んでいるのではないか。目に見えない抑圧された何かを抱えながら我々は生きている。本作がそんな人たちを解放に導く一つの手段になるなら、このドラマは『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』のような名作になり得るだろう。「あがめる」という言葉が本作を最後まで牽引してゆくキーワードになるのか期待しながら見届けたい。
文=朋 道佳(とも みちか)
コラム:ロコレ提供http://syukakusha.com/
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