スターよりストーリー、名前より可能性…Netflixが変えたKコンテンツの公式

Netflixシリーズ「少年審判」で第58回百想芸術大賞の脚本賞を受賞したキム・ミンソク作家が、最も記憶に残っていると語った視聴者のコメントは、「恐れを知らない新人作家のシナリオに、俳優たちとプラットフォームがしっかりと応えた」というものだった。

少年犯罪という重い題材を扱ったこの作品は、当初、世に出すことが難しいのではないかという懸念があった。キム作家は「この物語を世に出せるのか心配だった」とし、「Netflixは表現の限界をあらかじめ決めることなく、思い切って挑戦するよう背中を押してくれた」と振り返った。

2016年に韓国に進出したNetflixが、ことしでサービス開始10周年を迎えた。この10年間で変わったのは、視聴方法だけではない。コンテンツの企画や制作のあり方にも変化が生まれた。かつてはスター俳優が出演するかどうかや、大衆受けする題材であるか、テレビ放送の枠を確保できるかといった要素が作品の運命を左右していた。しかし、今では物語の独創性やクリエイターの潜在能力が、新たな競争力として注目されている。

Netflixの共同最高経営責任者(CEO)を務めるテッド・サランドス氏はことし8月、米テレビジョン・アカデミーの殿堂入りを果たした際、「Netflixは視聴者に主導権を与え、いつでもどこでも好きなコンテンツを見られるようにした」とし、「これはテレビの視聴方法だけでなく、制作方法まで変えた」と強調した。サランドス氏の言葉どおり、Netflixがもたらした変化はコンテンツの楽しみ方にとどまらず、制作現場にも広がっている。

その変化を示す代表的な数字が、新人クリエイターの起用率だ。Netflixによると、最近3年間に公開された韓国のシリーズや映画のうち、3作品に1作品は新人監督または脚本家のデビュー作だった。


第5回青龍シリーズアワードでシン・ヘソンとパク・ボギョンがそれぞれ主演女優賞と助演女優賞を受賞した「レディ・ドゥア」は、新人のチュ・ソンヨン作家が脚本を手がけた。また、釜山国際映画祭で公開されたNetflixシリーズ「クルアルバ -おいしいバイト-」のキム・ダミン監督も、シリーズ作品の演出は初めてだった。

こうした変化の背景には、世界規模の配信網とサブスクリプション型のビジネスモデルがある。韓国語を使用する人は世界人口のごく一部にすぎないが、Netflixでは韓国コンテンツが英語コンテンツに次いで多く視聴されるコンテンツとしての地位を確立した。韓国内の視聴者の好みや作品の知名度だけに頼らなくても、世界各地の視聴者に作品を届けられるようになったのだ。

毎週決まった時間帯にできるだけ多くの視聴者を集めなければならないテレビ放送とは異なり、オンライン動画配信サービス(OTT)は、さまざまな好みを持つ会員に向けて作品を提供できる。もちろん、個々の作品の成績が重要でなくなったわけではない。しかし、大衆受けするジャンルだけに集中するのではなく、多様な物語をそろえた作品群を展開しやすくなった。これが、新人クリエイターや実験的な題材への投資を後押ししている。

変化は俳優のキャスティングにも表れている。かつてはスター俳優の知名度が投資や放送枠の確保を左右する重要な要素だったが、最近ではキャラクターや作品に合った新しい才能を発掘しようとする動きが広がっている。

「鉄槌教師」は、エピソードごとに中心人物が入れ替わる構成を生かし、パク・ジヨン、ユ・テジュ、チャン・ヨフンら若手俳優を起用した。「スキャンダル」でも、シン・ユナ、チェ・ソリン、キム・ジアンら新人俳優に活躍の機会を与えた。

新鋭のパク・ユンソ監督が手がけたNetflixシリーズ「キリゴ」は、こうした変化を象徴する作品だ。「キングダム」シーズン2で助監督を務めたパク監督は、本作で初めてシリーズ作品の演出を担当。主演陣にも新人俳優を積極的に起用した。

その結果、「キリゴ」はNetflixのグローバルTOP10(テレビ番組部門)に5週間ランクインし、出演したチョン・ソヨンは青龍シリーズアワードで新人女優賞を受賞した。

パク監督は「俳優を全員新人にしても良いのかと尋ねたところ、知名度よりも、その俳優が役に合っていて、視聴者を納得させられるかどうかが重要だという答えが返ってきた」と明かした。さらに、「見慣れた名前に頼るのではなく、作品全体の新鮮さを追求することができた」と説明した。

Netflixがこの10年間で韓国のコンテンツ産業にもたらした変化は、単に海外進出の機会を広げたことだけではない。従来のヒットの法則にとらわれず、新しい物語やクリエイターが市場に参入する機会を増やしたという点でも、大きな意味を持つ。

実際、Netflixは2016年から2025年までに韓国内の80社余りの制作会社と協力し、200作品以上の韓国コンテンツを制作、または共同制作してきた。

今後、重要になるのは、こうした機会を一過性の成功で終わらせず、持続可能な制作環境につなげていくことだ。スター俳優や巨額の制作費に頼る従来のヒットの法則を超え、まだ発掘されていない物語やクリエイターを継続的に見いだしていくことが、Kコンテンツの次の10年を支える競争力になるとみられる。

WOW!Korea提供

2026.10.25