
K-POPの新作アルバムを発売日に注文すると、約1時間後には自宅の玄関へ。いつものゲームを開けば、その世界にも“推し”がいる――。
これまでファンがアーティストを追いかけていたK-POPが、今度はファンの日常へと入り込み始めている。
そんな変化を象徴するのが、「LE SSERAFIM」の今回のカムバックだ。
「LE SSERAFIM」は、デリバリーアプリ「配達の民族(ペダレミンジョク)」のクイックコマースサービス「Bマート」を通じ、発売当日にアルバムをスピーディーに受け取れる新たな販売方法を導入した。
さらに、韓国国内外のゲーマーから高い認知度を誇る人気ゲーム「オーバーウォッチ 2」とも2度目のコラボレーションを実現した。
「アルバムのデリバリー」と「ゲーム」。一見、まったく異なる2つの試みに見えるが、目指す方向は同じだ。
ファンにK-POPを“探しに来てもらう”のではなく、アーティストの側からファンが日常的に利用するアプリやプラットフォームへ飛び込んでいく。
所属事務所SOURCE MUSICが明かしたコラボレーションの基準も明確だ。
「『LE SSERAFIM』の音楽的なメッセージと、パートナー企業の強みがうまく合致しているかどうかが、コラボレーションにおける最優先の基準です。この接点さえあれば、相手がどのような分野であっても可能性は開かれています」
今回の試みは、単なる変わったプロモーションではない。K-POPとファンが“どこで、どう出会うのか”。その仕組み自体が変わり始めている。
「LE SSERAFIM」の2ndシングル「Made My Night」のカムバックで、特に目を引くのがアルバムの流通方法だ。
「Bマート」を通じ、アルバム発売当日から購入できるようにした。
これまでなら、オンラインのアルバム販売店で注文し、配送を待つのが一般的だった。しかし今回は、発売時刻に合わせて注文すれば、スピーディーにアルバムを受け取ることができる。
食料品や日用品を買うために普段から使っているアプリで、K-POPの新作アルバムも一緒に買う。アルバムを購入するために専門店やファンダム向けプラットフォームを訪れる必要はない。
“推し活”が、日常の買い物と同じ動線に入ってきたのだ。
しかも、「Bマート」と組んだ理由は、単に配送が速いからではない。
SOURCE MUSICによると、今回のアルバムプロモーションは「一緒だからこそ、より楽しく愉快な夜」というメッセージを軸に企画された。
そこで、今の世代の“夜”と切り離せないデリバリーフードに着目。「Bマート」とのコラボレーションにつなげたという。
アルバムが伝える世界観を音楽や映像だけにとどめず、ファンが実際に過ごす時間や消費体験にまで広げた形だ。
ファンにとっては、夕食や夜食を注文することと、カムバックしたばかりのアルバムを買うことが、同じアプリの中でつながる。
SOURCE MUSIC側は「Bマートは人々の日常に自然に溶け込んでいるプラットフォームであるだけに、スピーディーな配送サービスを活用し、『LE SSERAFIM』のアルバムを日常の中で、より新鮮な形で楽しめる機会を作りたかった」と説明した。
アルバムを“売る場所”が変われば、ファンがアーティストと“出会う場所”も変わっていく。
「LE SSERAFIM」が入り込んだのは、日常の買い物だけではない。
人気ゲーム「オーバーウォッチ 2」と2度目のコラボレーションを行い、音楽を体験する場所をゲームの世界にまで広げた。
K-POPとゲームが手を組むこと自体は、もはや珍しくない。ただ、最近はアーティストがゲームのOSTを歌ったり、広告モデルを務めたりするだけではなく、その音楽やイメージをゲームユーザー自身が“体験する”方向へと進化している。
「LE SSERAFIM」も「オーバーウォッチ 2」とのコラボを通じ、既存のファンダムだけでなく、ゲームという別のカルチャーにまで接点を広げた。
「LE SSERAFIM」の音楽を聴いていたファンがゲームの世界でも彼女たちに出会う。一方、もともとゲームを楽しんでいたユーザーが、コラボをきっかけに「LE SSERAFIM」やK-POPに触れることもある。
ファンを1つの場所へ集めるのではなく、異なるカルチャーの中にアーティストとの接点を作る。そこにも、今回の戦略が見えてくる。
■ゲーム、ファッション、食、ウェルネス…境界線を越えるK-POP
「LE SSERAFIM」が接点を広げているのはゲームだけではない。
SOURCE MUSIC側は「『LE SSERAFIM』は最近、ゲームをはじめ、ファッション、ライフスタイル、F&Bなど、さまざまな分野とのコラボレーションを行っている」と説明。
「分野に関係なく、音楽を通じて伝えようとするメッセージと、それぞれのパートナーが持つ強みがうまく融合できるかを第一に考えている」と明かした。
重要なのは、単純な話題性や露出の大きさだけではない。
その時期に「LE SSERAFIM」が音楽を通じて伝えたいメッセージと、コラボレーションする相手が持つ強みをどう結び付けられるか。その“接点”を優先しているという。
実際、2ndフルアルバム「PUREFLOW pt.1」の活動では、恐れや内面についての物語を展開しながら、ウェルネス分野とのコラボレーションも行った。
ゲーム、ファッション、ライフスタイル、F&B、ウェルネス――。
音楽とは一見距離があるように見える分野も、「LE SSERAFIM」のメッセージと結び付けば、アーティストの世界観を体験する新たな場所になる。
■“推しに会いに行く”K-POPから、“推しがやって来る”K-POPへ
「Bマート」と「オーバーウォッチ 2」は、まったく性格の異なるプラットフォームだ。
それでも両者には、大きな共通点がある。
ファンがアーティストのいる場所へ出向くのではなく、アーティストの側から人々が普段過ごしている場所へやって来たことだ。
これまでK-POPファンは、公式ファンダムプラットフォーム、アルバムショップ、音楽番組、ポップアップストアなど、“推しがいる場所”を自ら探してきた。
しかし、世界中でK-POPアーティストやコンテンツが増え続ける中、ただカムバックするだけでは注目を集めることが難しくなっている。
そこで問われ始めたのが、「何を売るか」だけではなく、「どこで出会い、どう体験してもらうか」だ。
「LE SSERAFIM」の事例は、これからのK-POPにおけるコラボレーションが、「アーティストのIPを、別の文化や日常の中でどう体験してもらうか」という方向へ広がっていく可能性を示している。
アルバムショップへ行かなくても、いつものアプリから新作が玄関まで届く。
MVやステージを見ていない時間にも、いつものゲームを開けば、そこに推しとの接点がある。
かつては、ファンがK-POPを探しに行った。
今は、K-POPの方からファンの日常へやって来る。
デリバリーを待つ夜も、ゲームに夢中になる時間も、“推し活”の時間になり得る。「LE SSERAFIM」の今回のカムバックは、K-POPの“売り方”だけでなく、ファンがK-POPと出会い、楽しむ方法そのものが変わり始めていることを映し出している。
WOW!Korea提供








