【韓ドラNOW+】テレビは“再放送”、OTTが“本放送”に?…韓国ドラマで進む逆転現象

「本放送はテレビで見る」という常識が揺らいでいる。オンライン動画配信サービス(OTT)で先に公開されたドラマを、テレビが後から放送するケースが相次いでいるためだ。かつてはテレビが「本放送」、OTTが「見逃し配信」の窓口だったが、今ではOTTが初公開を担い、テレビが新たな視聴者層を取り込む後続プラットフォームへと役割を変えつつある。

■OTTが「本放送」、テレビは後続窓口へ

最近の代表例が、TVINGオリジナル「俺はもう我慢しない~宝くじ当たったけど会社辞めません~」だ。同作は毎週木曜日午後6時にTVINGで2話ずつ先行公開され、その4日後となる月・火曜日にtvNで1話ずつ放送される。

15日にtvNで放送された第1話は、全国基準3.9%の視聴率を記録した。OTT利用者がすでに第1・2話を視聴している一方、テレビ視聴者は数日遅れて第1話を見るという、従来とは逆の構図だ。

ことし4月に公開された「ユミの細胞たち シーズン3」も同様だった。毎週月曜日午後6時にTVINGで2話を一挙公開し、同日と翌日にtvNで1話ずつ放送。OTTとテレビで同時期に展開しながらも、公開スピードではOTTを優先する形が取られた。

さらに、OTTでの公開を終えてから数年が経過した作品を、テレビが改めて編成するケースも増えている。

MBCは先月、Coupang Playオリジナル「アンナ」をテレビで初放送した。2022年に公開された作品が、約4年を経て地上波に登場した形だ。初回視聴率は5.2%を記録し、同時間帯でそれ以前に編成されていた一部コンテンツの1~2%台を上回った。OTTですでに評価を得た作品が、テレビでも一定以上の競争力を示したことになる。

MBCはこれに先立ち、Disney+の「ムービング」と「カジノ」を編成。ことし7月には、2024年に公開された「殺し屋たちの店 シーズン1」も金・土曜日に放送した。

特に「殺し屋たちの店」は、続編の公開を控えたタイミングでシーズン1をテレビで再び放送。既存シーズンを振り返る機会を提供すると同時に、新シーズンのPRにもつなげる狙いがあった。

tvNもApple TV+オリジナル「パチンコ」シーズン1・2をことし6月から8月にかけて編成したほか、昨年TVINGで先行公開された「親愛なるX」もことし6月にテレビで放送した。

OTT内だけで作品の寿命を終えるのではなく、別のプラットフォームへ場所を移し、再び視聴者と出会う。そんなコンテンツの「2次流通」が本格化している。

こうした変化の背景には、テレビ局とOTT双方の利害の一致がある。

テレビ局にとって、すでに完成度や話題性が確認された作品を調達することは、新作制作に伴う費用やヒットしなかった場合のリスクを抑えることにつながる。制作スケジュールの遅延やラインナップ不足によって生じる編成の空白を埋める手段としても効率的だ。

実際、放送業界を取り巻く環境は厳しさを増している。2025年の放送広告売上高は2兆134億ウォン(約2,013億円)で、前年から12.3%減少。地上波の広告売上高も17%減の6936億ウォン(約694億円)にとどまった。

広告収入が減少する一方で、制作費の負担は依然として重い。そうした中、すでに実績のある外部コンテンツを購入することが、テレビ局にとって現実的な選択肢となっている。

■テレビ局はリスクを減らし、OTTは作品の寿命を延ばす

一方、OTT側にも明確なメリットがある。

OTT関係者は「これまで登録者しか見ることのできなかった作品を、テレビを通じてより幅広い年齢層に届けることができ、作品だけでなくプラットフォーム自体を改めてPRする効果も期待できる」と説明。

さらに、「すでに公開を終えたコンテンツを追加で流通させることで、知的財産権(IP)の寿命を延ばすと同時に、続編や関連作品へ新たな利用者を呼び込むこともできる」と話した。

「アンナ」がその代表例だ。MBCでの放送をきっかけに、公開から約4年が経過した作品が再び関心を集め、Coupang Play内でも改めて注目された。テレビがOTTコンテンツの「再放送窓口」になる一方で、視聴者を元のOTTへ呼び戻すPRチャンネルとしての役割も果たしたわけだ。

つまり、コンテンツ流通の基準そのものが、「どこで最初に放送されるか」から「どこで、どれだけ長く視聴されるか」へと移りつつある。

1つの作品を特定のプラットフォームだけにとどめるのではなく、まずOTTで話題を生み、テレビを通じてより幅広い層へ届け、そこから再び元のプラットフォームへ関心を呼び込む。コンテンツを一度きりで消費するのではなく、複数のプラットフォームを循環させながら、その寿命を延ばしていく新たな流通構造が生まれているのだ。

ただし、すべてのOTTコンテンツをそのままテレビへ移せるわけではない。

OTTは放送審議の規制が比較的緩いため、暴力表現や性的表現、放送時間などの面で地上波の編成基準とは違いがある。

テレビ局関係者は「実際にテレビで編成する過程では、一部のシーンを編集したり、話数の構成を組み直したりしなければならない負担もある」と説明。

続けて、「業界では、OTTとテレビの境界がなくなるほど、テレビ放送向けの再編集やレーティングの調整も重要な課題になるとみている」と指摘した。

WOW!Korea提供

2026.09.16