
CDが帰ってきた。新車からCDプレーヤーが姿を消し、携帯型プレーヤー「ディスクマン」も入手困難となった一方で、CDの販売量は増加している。レトロブームの主役が、LPからCDへと移りつつあるためだ。
その流れをけん引しているのが、「BTS(防弾少年団)」をはじめとするK-POPアーティストと、音楽を“手で触れられるもの”として楽しむZ世代だ。
8日(現地時間)、米紙ワシントン・ポストによると、エンターテインメントデータ企業Luminateが発表した今年上半期の報告書で、米国のCD販売量は1630万枚を記録した。前年同期比16%増となり、同じ期間に2.4%増にとどまったLPを伸び率で大きく上回った。
■「BTS」がCD人気をけん引…米国で約60万枚
CD市場の復活には、「BTS」をはじめとするK-POPの影響が大きかった。
「BTS」は今年3月にリリースした5thフルアルバム『ARIRANG』を複数のCDバージョンで発売し、米国だけで約60万枚を販売した。
ただし、「BTS」をはじめとするK-POPの売り上げを除いて集計しても、上半期のCD販売量は前年同期比で約6.7%増加している。K-POPの強い販売力だけでなく、米国の音楽市場全体でCDを再評価する動きが広がっていることが分かる。
Luminateのロブ・ジョナス最高経営責任者(CEO)は、「Z世代のリスナーの60%が、現在は主に1990年代以前の音楽を聴いていると答えたことも後押しした」と説明した。
■Z世代が求める“手で触れられる音楽”
CDを購入する理由は、人によって異なる。米ジョージア州に住むマイケル・スウォルバーグさん(31)は、実際に手で触れられる感覚を理由に挙げた。
スウォルバーグさんは「CDは私にとって、単に何かを所有するということではない。何かと直接触れ合いたいという根本的な欲求を満たしてくれるものだ」と話した。
続けて「ケースを開け、ブックレットをめくって紙の感触を確かめ、歌詞を読む。そして、アーティストが自ら選んだ絵や写真を見るのが好きだ」と語った。
懐かしさからCDを購入する人もいれば、ストリーミングやLPより音が良いと感じて選ぶ人もいる。学校がワイヤレスイヤホンや携帯電話を禁止したため、両親が使っていたディスクマンを倉庫から取り出したというエピソードも、オンライン上に投稿されている。
こうした動きは、音楽を再生するだけでなく、アルバムの世界観そのものを手元に残したいというZ世代の消費傾向とも重なる。
さまざまな写真やブックレットを収めた複数のバージョンを発売するK-POPのアルバムは、音楽作品であると同時に、所有して楽しむコレクションとしての役割も果たしている。
■LPより安く、ファンも購入しやすい
価格の安さも、CDが再び選ばれる理由の一つだ。
ニューヨークを拠点に活動する兄妹ロックバンド「BAILEN」のデビッド・ベイレンは、CDはLPに比べて大幅に安く制作できると説明した。
デビッド・ベイレンは「CDは1枚当たりの原価が4.50ドル(約600円)ほどだ。10ドル(約1340円)で販売すれば、原価と同程度の利益を確保できる上、ファンにとっても負担の少ない価格だ」と話した。
制作側は比較的低い費用で商品を作ることができ、ファンもLPほど高額な費用をかけずに購入できる。アーティストとファンの双方にとって手が届きやすいことも、CD人気を支えている。
■何度再生しても音質が変わりにくい
CDが再び売れている背景には、長く楽しめるという特徴もある。
物は誕生した瞬間から少しずつ劣化していく。LPは再生するたびに針が溝と接触し、カセットテープの磁気テープは伸びたり薄くなったりする。
ストリーミングも、サービスや配信形式によっては音源が圧縮される。また、配信事業者間の競争や契約の変更などにより、多くの楽曲がサービスから一斉に姿を消すこともある。
一方、CDはポリカーボネート製のディスクに記録された凹凸をレーザーで読み取るため、再生時に物理的な摩擦が生じない。落としたり傷を付けたりせず、適切に保管すれば、何度再生しても音質が変化しにくいという利点がある。
もちろん、劣化しにくい一方で、紛失や盗難の可能性はある。
ワシントン・ポストの記者は、2012年に米ワシントンD.C.のローガン・サークルで、CDを詰めたバインダーを車の助手席に置いていたところ、窓ガラスを割られ、500枚以上を盗まれた経験を振り返った。
記者は「失ったのは、時間をかけて選んだ音楽だけではなかった」とし、「それは記憶の宝庫であり、芸術であり、手で触れられるものだった」と記した。
■米大型CDチェーン「サム・グッディ」は残り1店舗
需要が増えているとはいえ、CDを購入できる実店舗は依然として少ない。関連商品まで大型流通店で手軽に購入できるLPとは異なり、CDは販売店を探す必要がある。
しかし、一部の収集家にとっては、その入手の難しささえ魅力の一つになっている。
文化評論家のビラル・クレシ氏は「CDケースや車載用収納ケースなど、CDと一緒に使う商品も多くが品切れになっている」とし、「大型家電量販店へ行っても、CDプレーヤーを見つけるのは難しいだろう」と話した。
1990年代に米国全土でCDを販売していたチェーン店の多くは、すでに姿を消した。タワーレコードは2006年に米国で店舗を閉鎖。同年に経営破綻した「サム・グッディ」は、現在、残り1店舗となっている。
ワシントン・ポストによると、米オレゴン州メドフォードのショッピングモールにある最後の店舗には、今も数多くのCDが並んでいるが、来店客はほとんどいなかったという。同紙はこの店を、かつて音楽ファンの道しるべだったチェーンの最後の面影と表現した。
隣接するコーヒー店の従業員は、主に退職した人たちがCDを購入しているようだと話した。しかし、CDを求めるのは高齢世代だけではない。
若者や中年層、懐かしさを求める人、音質にこだわる人、少しでも費用を抑えたい人など、さまざまな消費者が今もCDを選んでいる。
ワシントン・ポストは「適切に扱えば、CDは決してすり減ってなくならない」とし、「私たちとは違い、CDは決して年を取らない」と伝えた。
WOW!Korea提供







