
世界的なスター1組の誕生は、エンターテインメント企業を一気に成長させることができる。問題は、その次だ。特定のアーティストに集中した成功を、どのように複数のアーティストや事業、市場に拡大するかが、企業の持続的な可能性を左右するからだ。
グループ「BTS(防弾少年団)」を世界的なグループへと成長させた「HYBE」の動きが、海外の経営学界で、再び研究対象に上った背景もここにある。6年前、「BTS」の成功手法に焦点を当てた研究の重心が、今や、その成功を基に、新しい成長動力を創出する「HYBE」の企業戦略へと移行した。
フランスの経営大学院「INSEAD」の「ブルー・オーシャン戦略研究所」は、最近、「HYBE」の成長戦略を分析したケーススタディーを発表した。「ブルー・オーシャン戦略」の創案者であるキム・ウィチャン、レネ・モボルニュ教授の指導の下、ク・オヨン主席研究員が執筆した研究だ。
研究チームが注目したのは、ひとつの“ヒットIP”ではない。「BTS」の立ち上げを皮切りに、ファンプラットフォーム「Weverse」を構築し、マルチレーベルとグローバル展開により、事業領域を拡大してきた一連のプロセスである。「HYBE」が、ひとつのアーティストに依存する会社から、多様な知識財産権(IP)を持続的に生み出す企業として拡張してきた過程を、経営戦略の観点から見つめたものである。
〇 「BTS」という“大ヒット”以降…「HYBE」が選んだ拡張戦略
「INSEAD」の研究は、「HYBE」が直面した課題のなかのひとつとして、単一のアーティストに対する依存を指摘した。これと関連して、パン・シヒョク議長が、2023年に宮訓フォーラムで提起した「K-POP機器論」にもスポットを当てた。
研究陣は、「HYBE」がこのようなリスクに対応し、マルチレーベルシステムと、グローカライゼーション(glocalization)戦略を活用したと分析した。特定アーティストの成果に、企業全体が左右される構造から脱却し、IPを確保し、活動の舞台をグローバル市場に広げる方式である。
「Weverse」も同様に、このような成長過程の主要な柱として扱われた。研究陣は、「BTS」の輩出や「Weverse」の構築、グローバルマルチレーベル体制へとつながる事業拡張を「HYBE」が、K-POPの生態系の新しい領域を切り開いてきた過程ととらえている。これを通じて、爆発的な成長を遂げるとともに、ジャンルや地域、事業領域を多角化する基盤を整えたという分析がある。
結局、「INSEAD」が見た「HYBE」の競争力は、「BTS」というひとつの成功事例だけにあるわけではない。一度確保した成功を、新しいIPと市場に拡張できる構造を作ってきたことに研究の焦点が充てられている。
〇 6年前には「『BTS』の成功の秘訣」…今や、企業の成長構造を見る
このような観点は、2020年のハーバード・ビジネス・スクール(HBS)の研究と比較すると、さらに明確になる。
当時、HBSのアニータ・エルバース(Anita Elberse)教授は、「HYBE」の前身である「BIGHITエンターテインメント」を研究対象にした。非西欧圏の小さな事務所が、どのようにして世界的な“ブロックバスター・グループ”である「BTS」を生み出したのかが、主な関心事だった。
研究チームは、「BTS」のメンバーの積極的な創作参加や音楽・ストーリーを中心としたファンダム(熱心なファンのコミュニティ)“ARMY”との関係、デジタルプラットフォームを活用したコミュニケーション方法などに注目した。「BTS」というスーパーアーティストを誕生させた「BIGHIT」独自の育成とマーケティング手法が、分析の中心だったと言える。
6年後には、研究の範囲が変わった。「BTS」を成功させた方法だけでなく、その成功後に企業がどのように新しいIPを作り、事業領域を広げていくかが研究対象に含まれた。個別アーティストの成功公式から、マルチレーベルやプラットフォーム、グローバル市場を網羅する企業の成長構造へと関心が拡大したのだ。
今回の「INSEAD」による研究報告書は、全世界の3000以上の大学で、グローバル経営学部の授業教材として活用されている。パン・シヒョク議長が主導して設計してきた「HYBE」独自のビジネスモデルが、グローバル市場で持続可能な成長を模索する企業戦略の事例として、経営学界で扱われているという意味がある。
かつては、海外の関心がK-POP特有のアーティスト育成システムやファンダム文化に集中していたが、今では、それを持続可能な企業成長に結びつける方法まで研究範囲が広がっている。「BTS」というひとつの成功から始まった「HYBE」が、今やその成功をどのように繰り返し、拡大していくのかまで経営学の研究対象となったわけだ。


WOW!Korea提供

