【コラム】クォン・サンウも住宅を所有…韓国のスターと財界人が集う“韓国版ビバリーヒルズ”とは

「金の盆に玉が転がる名堂(めいどう)」――。

韓国で最高級の住宅地を語る際、立地やブランド、交通利便性、眺望などさまざまな条件が挙げられる。しかし、超高級住宅市場において本当の富裕層が重視する要素として今なお語られるのが「風水」だ。

俳優クォン・サンウや女子ゴルフ界のレジェンド、パク・インビをはじめ、多くの著名人や財界人が名を連ねるソパンギョ(西板橋)は、そんな風水の考え方まで取り入れた韓国屈指の高級住宅地として知られている。

現在のパンギョ(板橋)は韓国を代表する新都市として発展したが、その中でも西板橋は少し異なる存在だ。IT企業や高層マンションが立ち並ぶトンパンギョ(東板橋)とは対照的に、高級一戸建てやタウンハウスが広がり、豊かな自然と静かな住環境を兼ね備えている。その景観から「韓国版ビバリーヒルズ」と呼ばれることも少なくない。

【「金の盆に玉が転がる名堂」と呼ばれる街】

西板橋が高級住宅地として注目される理由の一つが、その立地にある。

韓国では古くから、山を背にして水に面する「背山臨水(はいざんりんすい)」の地形が理想的な住環境とされてきた。西板橋のウンジュンドン(雲中洞)一帯は、後方にチョンゲサン(清渓山)やククサボン(国思峰)、クムトサン(金土山)の山並みを抱え、前方にはウンジュンチョン(雲中川)が流れる。

実際、現地で分譲された一部の高級住宅地では、販売当時から風水報告書が活用されたという。

高級住宅地として知られる「サヌン・アペルバウム(Sanwoon Apelbaum)」や「ウンジュン・アペルバウム(Unjung Apelbaum)」では、この地域を「富と人材を生み出す名堂」と紹介。特に雲中洞一帯は、学問や名誉、財運に恵まれる「仙人読書形」の地として説明された。

不動産関係者によると、高級住宅の購入を検討する顧客の中には、今でも風水を理由に問い合わせるケースが少なくないという。超富裕層の住宅選びは単純な価格や立地だけではなく、家の向きや周囲の山や川の配置、さらにはプライバシーの確保まで総合的に判断される。

【最高約8億円で分譲された超高級住宅】

西板橋を象徴する高級住宅地としてまず名前が挙がるのが「サヌン・アペルバウム」だ。

2012年に完成したこの住宅地は、約1万9000平方メートルの敷地にわずか34世帯のみが入居する超高級住宅団地として誕生した。

当時の分譲価格は30億ウォン台後半(約3億円台後半)から最高80億ウォン(約8億円)。当時の韓国において、マンションやヴィラ、一戸建てを含めても最高水準の価格帯だった。

さらに注目を集めたのが、その設計思想だ。

サヌン・アペルバウムは、外部車両や部外者の出入りを制限し、住民の安全とプライバシーを守る「ゲーテッドコミュニティー」方式を韓国でいち早く本格導入した高級住宅地として知られている。独立した住宅の開放感を保ちながら、高級マンション並みのセキュリティーと管理体制を備えたことが大きな特徴だった。

世界的建築家や風水専門家も設計に参加し、高級住宅地としての価値を高めた。現在も売り物件はほとんど市場に出回らず、一部物件は100億ウォン(約10億円)を超える価格で取引されることもある。

【スターと財界人が集う理由】

西板橋が注目される理由は住宅そのものだけではない。

この街には芸能人やスポーツ選手、そして韓国を代表する財界人たちが集っている。

高級タウンハウス「ウォルデンヒルズ」には、俳優キム・ボソンや女子プロゴルファーのパク・インビが居住していることで知られる。また、雲中洞の高級ヴィラ「ルシート・ヴィルモート」には、俳優クォン・サンウが住宅を所有していると伝えられている。

クォン・サンウは現在、家族とアメリカを拠点に生活しているが、韓国でも不動産投資家として知られる存在だ。韓国を代表するスターの名前が挙がること自体、西板橋のブランド価値を物語っている。

さらに周辺エリアまで広げると、新世界グループのチョン・ヨンジン会長、カカオ創業者のキム・ボムス氏、LSグループのク・ジャヨル会長など韓国財界を代表する人物たちも居住しているとされる。

【なぜ富裕層は西板橋を選ぶのか】

こうした著名人や富裕層が西板橋を選ぶ最大の理由は、都心へのアクセスとプライバシーの両立にある。

西板橋は一見すると郊外の静かな住宅地に見える。しかし実際には西板橋ICや板橋ICを利用すれば、ソウル・江南エリアまで車で20~30分程度で移動できる。

仕事では都心へのアクセスを確保しながら、自宅では外部の視線から離れた生活を送れる。これこそが西板橋最大の魅力と言われている。

また、東板橋がIT企業や商業施設を中心に発展した都市型エリアであるのに対し、西板橋は低い住宅密度と広い敷地、豊かな自然環境を武器に独自の価値を築いてきた。

広い敷地、優れたセキュリティー、自然環境、都心へのアクセス、そしてプライバシー。これらすべてを兼ね備えた住宅地は韓国でも決して多くない。

かつては江南の住宅需要を分散する新都市として注目された板橋だが、今では西板橋そのものが一つのブランドとなった。

俳優やスポーツスター、財界人たちがこの街を選び続ける背景には、単なる不動産価値を超えた魅力があるのだろう。

「韓国版ビバリーヒルズ」と呼ばれる西板橋。その静かな街並みは、今日も韓国を代表する富裕層たちの暮らしを支えている。

(編集部)

 

WOW!Korea提供

2026.06.20