韓国の軍隊の中で訓練が一番厳しいことでよく知られているのが海兵隊です。この海兵隊は同じ兵役でも志願して入隊してくるのですが、具体的に海兵隊はどんな軍隊なのでしょうか。Q&A方式でわかりやすく解説します。
海兵隊は志願制
〔質問1〕
海兵隊とはどんな軍隊なのですか?
〔回答1〕
先兵として海上から敵地に真っ先に上陸して、その後に続く自軍のための拠点を確保するのが、海兵隊の一番の役目です。
1944年のノルマンディー上陸作戦や1950年の仁川(インチョン)上陸作戦などが海兵隊の輝かしい成功例として有名です。
ただし、待ち構える敵軍から激しい攻撃を受けますので、犠牲も多くならざるをえません。そういう意味では、過酷な任務に就く軍隊と言えます。
〔質問2〕
韓国の兵役で海兵隊に行く場合もあるのですか?
〔回答2〕
韓国の兵役では陸軍の現役兵になる人が圧倒的に多いのですが、海兵隊に行く人もいます。ただし、海兵隊は志願制を採用しており、選抜試験に合格しなければ海兵隊には行けません。この選抜試験では体力が重要な合格基準になっています。つまり、兵役予定者の中でも体力自慢の人でないと、なかなか海兵隊に行けないということです。
なぜ体力が重要かというと、海兵隊は韓国の軍隊の中で、訓練が一番厳しいと言われています。海兵隊の隊員は体力的に限界を超えるほどの鍛錬と辛抱を強いられるのです。それゆえに、誰でも入隊できるというわけではありません。
質問3〕
そんなに厳しい海兵隊になぜわざわざ志願する人がいるのですか?
〔回答3〕
韓国では海兵隊に志願する人がとても多いのです。そのために、希望通り海兵隊に入れない人が続出します。
なぜ、韓国の若者は海兵隊をめざすのでしょうか。海兵隊の隊員は韓国で「男の中の男」と言われており、海兵隊の軍務をやり遂げると社会に戻った後でも一目置かれる存在になります。つまり、同じ軍隊でも、経験することで箔が付くのが海兵隊なのです。それゆえ、体力がある人たちが自分のキャリアアップのためによく海兵隊をめざします。
〔質問4〕
海兵隊の兵役期間はどのくらいですか?
〔回答4〕
2018年9月までは海兵隊の兵役期間が陸軍と同じ21カ月でした。しかし、2018年10月から兵役期間の短縮が実施されています。最終的に海兵隊の兵役期間は18カ月に短縮されました。
〔質問5〕
海兵隊の新兵訓練はどのように行なわれますか?
〔回答5〕
陸軍の新兵訓練は期間が5週間ですが、海兵隊は7週間です。海兵隊に入った新兵は浦項(ポハン)にある訓練所に入所して、最初は制式訓練(軍人としての敬礼や歩行を身につけるための訓練)を受けます。
それから応用訓練に移っていきます。「水陸両用車に乗る訓練」「ゴムボートで上陸する訓練」「パラシュートで地上に下りる訓練」「ロープを使って絶壁を降下する訓練」などが行なわれます。
どの訓練も危険な要素が強いので、安全性を確保しながら徹底的に反復されます。
〔質問6〕
新兵訓練の中で特に厳しいのはどんな訓練ですか?
〔回答6〕
新兵にとって特に辛いのが「丸太体操」です。それは、10人くらいで太い丸太を持ち上げて、整列したまま何度も屈伸運動を繰り返す訓練です。しかも、厳しい状況を想定して雨の中や深夜に行なわれます。何度も屈伸を繰り返すので、膝を傷める人が続出してしまいます。
また、「ロープ渡り訓練」も過酷です。それは、3メートルくらいの高さに吊った50
メートルくらいのロープを腹這いになって進んだり、仰向けになって両手の力だけで渡っていく訓練です。ここでも身体を傷める人が多く出てしまいます。
〔質問7〕
なぜそこまで訓練が厳しいのですか?
〔回答7〕
海兵隊の訓練が厳しいのは、志願兵だけで構成されていることが大きな理由になっています。みんなが自ら望んで海兵隊に来ています。しかも、訓練が一番厳しいことで有名なのに、それでも海兵隊に来ようとしています。そういう志を持った人たちが集まっていますし、任務の重要さを考えると、軍隊の中でも海兵隊は極端に訓練を厳しくできる、と言えるでしょう。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
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