「コラム」韓国と交流があった土地を訪ねて(第1回/埼玉・高麗1)

東京・池袋から西武池袋線の電車に乗り、秩父方面へ行くと、埼玉県の飯能駅を過ぎて二つ目に高麗(こま)駅がある。周囲は丘陵地帯で、鬱蒼とした緑が目に優しく映る。この高麗駅が他の周辺の駅と違うのは、駅前広場の真ん中に見慣れない二つの塔が立っていることだ。

朝鮮半島の習俗を再現した魔よけの塔

魔よけの塔「天下大将軍」
二つとも真っ赤に塗られていて、向かって右側の塔には「天下大将軍」と勇ましく書かれてあり、向かって左側の塔には「地下女将軍」と記されている。さらに、それぞれの塔の一番上には魔よけに使われるような人形顔が付けられている。対になっているこの塔こそ、朝鮮半島の風習を濃厚に感じさせるものである。
案内板には、次のような紹介があった。
「将軍標(チャンスン)は朝鮮半島に古くから伝わる習俗です。胴に記された『天下』『地下』の文字は目に見える世界から目に見えない世界まで、すべてを守る事をあらわし、村の入り口で魔を威嚇し、その侵入を防ぐことから、人々は魔よけ、災害防除、家内安全を祈願してきました。高麗地域の歴史、文化、観光の活性化を図るために、高麗駅前広場に将軍標を再建しました」

しばらく、将軍標を眺めてみる。筆者も、韓国の地方で何度かこの将軍標を見たことがあるが、大きさといい出来ばえといい高麗駅前のものが出色である。
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韓国と日本の史実1/ヤマト政権

韓国と日本の史実2/百済と高句麗

韓国と日本の史実3/仏教伝来

2023.01.14