『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』に登場する三兄弟の末っ子として強烈な個性を見せているのが、ソン・セビョクが演じるパク・ギフンだ。彼はどんな人生を歩んできたのだろうか。
女優との再会
三兄弟の末っ子として奔放に育った。
大学を卒業後、映画監督をめざした。
周囲から将来を嘱望された。
自分の才能を疑ったことはなかった。
ついに、監督としてのデビュー作を撮った。
結果は……こんなはずではなかった。
やり玉にあげたのが主演女優だった。
彼女の未熟な演技が作品を台無しにした。
女優を罵倒することで、かろうじて自尊心を守った。
しかし、業界からは見向きもされなくなった。
失意の中で生活のための仕事に就いた。
その最中に女優と再会した。
会いたくなかった。
彼女を見ていると、自分の悪夢が甦ってくるのだ。
それでも、彼女は未だに自分を慕ってくれていた。
その素直さが自分自身に真摯に向き合うきっかけになった。
何よりも、自分が女優を駄目にしたことを痛感させられる。
失敗したことを誰かのせいにしてはいけなかった。
もう一度、最初からやり直してみよう。
自分を信じて脚本を書き始めた。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
人生を救ってくれた『マイ・ディア・ミスター』/第1回「主人公の2人」
コラム提供:ロコレ