「コラム」今ユチョンの作品を見るならば

G-13新作がない今だからこそ!

ユチョンが兵役入りしたのは、昨年の8月27日だった。彼は陸軍訓練所で4週間の新兵訓練を受けたあと、ソウルの江南(カンナム)区役所で勤務を始めた。軍務の代わりに公的機関で働く社会服務要員になったからだ。

兵役が終わるのは、来年5月の予定だ。まだ1年以上もユチョンの新しい活動を見られないのである。そうなると、彼が兵役入り前に残した作品をまた見たくなる。新作がない以上、今までの作品を何度も見て、ファンは彼と心をつなげているのだ。

そうした作品の中で、何が一番心に残っているか。大ヒットした『トキメキ☆成均館スキャンダル』や『屋根部屋のプリンス』をあげる人が多いかもしれないが、今回はぜひ『会いたい』(2012年制作)を取り上げたい。

これは、愛する人の手を離してしまった男が再び最愛の人と“会いたい”と願い続ける作品である。

とにかく、心をときめかす純愛ドラマだ。10代なかばに育んだ幼い恋が、運命に翻弄されて会えなくなる。そんな宿命を抱えた男女が“会いたい”という切実な願いをどのように実現させていくのか。

見ていて、本当にハラハラさせられるが、そのハラハラもまた快感なのである。

ユチョンが演じたのは、10代の頃の辛い体験を乗り越えて刑事になったハン・ジョンウ。共演は、ジョンウが会いたいと願ったイ・スヨンを演じたユン・ウネだった。

この表情がたまらない(写真/2012 MBC & Victory Production )

この表情がたまらない(写真/2012 MBC & Victory Production )

絶対に出演したいドラマ
パク・ユチョンが『会いたい』のシノプシスを最初に受け取ったのは、仕事でアメリカに滞在していたときだった。

そのときの興奮を率直に語る。

「受け取ったときは夜遅い時間で明け方近くでした。読んで興奮してしまって朝7時ぐらいまで寝られませんでした。すぐに“この作品に出たい。この役は僕がやらなければ”と思いました。俳優なら誰もがやりたくなる役ですし、のがすものかと飛びつきました」

こうして主演が決まったが、それまでに演じた役柄と違って、『会いたい』のジョンウはかなり剛毅な役だった。

「撮影が始まる前にプレッシャーがありました。うまくやれるかどうか。子役たちがとても良い演技でスタートを切ったので、正直に言って少し負担も感じました。実際、僕が今までと違うタフな刑事の役を演じたときに、果たして視聴者の目にはどう映るのか。僕に合っていると思っていただけるかどうか。初めは少し心配でした。幸いにも、ジョンウの本来のタフな部分だけではなく、母親や恋人といるときのやさしい姿や、ちょっとふざけた部分もそれなりにお見せすることができたと思います」

作品数は少ないとはいえ、1作ごとに俳優としての評価を上げていたユチョン。彼は演じたジョンウというキャラクターをどう捉えていたのか。

「僕がジョンウの魅力を100%表現できたとは思いませんが、ジョンウは単につらくてインパクトがあるだけの役柄ではありません。人に優しい言葉をかけ、愛嬌も見せます。女の人の機嫌をとるようなセリフもあります。いろんな面を持った人物なんです。演じる僕としては、撮影時には泣くシーンの後に全然違う雰囲気のシーンを撮ったりしなければならなかったのですが……」

多様な面を持ったキャラクターを演じたので、ユチョンもやり甲斐があっただろう。

「ジョンウは刑事ですが、最初の頃はうまく演じられませんでした。頭の中にイメージはあったものの、すぐに行動ができなかったのです。もっとも、瞬発的にできるものでもないですし……。ジョンウがこれまで生きてきて身についた習慣を表現しなければならないので、それが少し大変でした。スヨンと一緒のときは違いますが、警察の同僚と一緒にいるときはおどけた感じで歩いてみたり、荒々しい雰囲気を出してみたりしました」

こうした発言を聞いていると、ユチョンがジョンウを演じるにあたっていかに苦労していたかがわかる。

『会いたい』でユチョンはユン・ウネと共演した(写真/2012 MBC & Victory Production )

『会いたい』でユチョンはユン・ウネと共演した(写真/2012 MBC & Victory Production )

自然な演技ができるようになった
共演者のユン・ウネは、ドラマの撮影中に緊張状態を強いられることが多かったそうだが、ユチョンにかなり助けられたという。

「正直なところ、とてもありがたかったです。つらい内容のドラマだと現場もピリピリしますが、ユチョンさんは明るい人ですね。NGを出しても悲しいシーンでも、ポジティブなパワーを出すので私も見習っていました。今まで私は現場で年下のほうだったので明るく振る舞っていましたが、ユチョンさんの場合は、周囲への気遣いがすばらしいです。それに自然体ですよね。押しつけがましくなくて明るいので、スタッフの疲労回復に一役買っていました」

ユン・ウネが指摘するように撮影現場で気をつかっていたユチョンだが、『会いたい』は彼に新たな試練を与えたドラマでもあった。

このドラマを経験したことで、彼は何を得たのだろうか。

「以前よりも、日常の生活感が漂う演技、なにげない会話をするような自然な演技ができるようになったと思います。それは今後演技を続けていくうえでとても重要なことです。これまでは何か大きな設定が与えられていて、その決められた枠と役柄をずっと背負って演技をしている感覚でした。今回は、ごく日常的な状況の中での演技に慣れたというか、より自然に演じることができたと思います。それはとても大きなことなので、今後演技をしていく中でも大切になってくるでしょう」

俳優としてのユチョンの場合、ドラマ『会いたい』がターニング・ポイントになったと言えるのかもしれない。

兵役を終えれば、俳優としてのユチョンの活動が再開される。今度はどんな面白いドラマを見せてくれるだろうか。

(文=「ロコレ」編集部)

コラム提供:ロコレ
http://syukakusha.com/

2016.04.01