「コラム」連載「康煕奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流」Vol.6「ここまで違う!日本と韓国の対人関係」

友人同士でも同じ布団に寝る

私がバイキングのランチを食べているとき、ちょうどサラダのコーナーで先に野菜を取っている人がいたので、私はその横に並び、彼が取り終えるのを待っていた。すると、彼が「近すぎますね」ときつい口調で言ってきた。
最初は何を言っているのかわからなかったが、聞き返したら、順番を待つならもうちょっと距離を取ってくれ、という意味だった。私としては、そんなに近づきすぎたという意識はなく、彼の隣に並んでいたという程度だった。しかし、彼からしてみれば、他人に密着されてゆっくり料理を取れないという気持ちだったようだ。けれど、きつい口調で不満を口にするほどの問題なのか。
ふと思い出したのが、かつてのユニークな調査だった。日本と韓国の市民を対象に、対人行動における日韓の違いを調べたものだ。その中の1つ。「同性の友達と海外旅行に出掛け、ホテルに泊まったときの部屋のとりかた」について尋ねたアンケートだ。たとえば40代なら、東京では「相部屋にする」と答えたのが14%、「別々の部屋にする」は51%、「どちらでも構わない」が35%だった。
一方、ソウルの40代は、50%が「相部屋にする」と答え、「別々の部屋にする」は23%で、「どちらでも構わない」が20%だった。繰り返すが、「相部屋にする」は東京が14%で、ソウルが50%だ。東京の人とソウルの人で、なぜこれほど違うのか。旅館に泊まるとき、韓国では同性なら相部屋を好み、しかも友人同士であれば同じ布団で寝ることも多い。

日本だったら、友人同士でも別々の布団に寝るが、韓国では友人同士なのに別々の布団に寝ようとすると、「水臭い」と変わった奴だと思われてしまう。
隣国同士でも、対人関係の距離の取り方には大きな違いがあるものだ。

文=康 熙奉(カン ヒボン)
1954年東京生まれ。在日韓国人二世。韓国の歴史・文化・社会や、日韓関係を描いた著作が多い。主な著書は『知れば知るほど面白い朝鮮王朝の歴史と人物』『宿命の日韓二千年史』『韓流スターと兵役』『朝鮮王朝と現代韓国の悪女列伝』など。

 

2018.02.03