「インタビュー」「師任堂(サイムダン)、色の日記」イ・ヨンエ インタビュー

Q.ドラマでは実に13年ぶりとなるかと思いますが、復帰作にこの「師任堂(サイムダン)、色の日記」を選ばれた理由があると思います。
特にサイムダンのどのような魅力がイ・ヨンエさんに響いたのかお聞かせください。

まずは、(脚本が)面白かったんです。どんなことよりも一番重要なのは面白さですよね。
作品のメッセージも重要ですし、他にも様々なことが重要ですが、私にとって一番重要だった“面白さ”がありました。

そして「師任堂は古く凝り固まっている」と思うところが私にもありましたが、500年前の師任堂は、こういう姿を望んではいなかっただろうと想像してみました。今の師任堂のイメージは、5万ウォン札に描かれ剥製のように飾られた、そんなイメージです。でも、本当に500年前にあの方がそれを望んでいただろうか…と思ったんです。

「宮廷女官チャングムの誓い」で、歴史に1行だけ残されていた人物を500年後に新たに生命を吹き込んだように、師任堂も私たちが決めつけているイメージ、こうだろうと思っていた師任堂に、その時代の師任堂はどうだったのだろうかと、新たな人物として生命を吹き込む、というところに魅力を感じました。

また、500年前の師任堂も現代の女性も、女性として母としての悩みというのは同じだということを撮影しながら感じました。そしてもうひとつ、女性たちが好きな愛の物語が描かれているので、私も演じながらときめきました。

ですからご覧になる方たちも、さまざまな角度からご覧になることができて、面白いと思います。

Q.「師任堂」という実在の人物であっても、師任堂の新たな面に光を当てようとすると、史実とは異なる部分が出てきてしまう、ということがつきものですが、実在の人物を演じるうえでどのように気を遣われましたか?

今回のドラマがきっかけになり、師任堂に対する見方が再び評価されるのも面白いだろうと考えました。私たちが知っているきちっとして堅苦しい師任堂ではなく、当時の有名女流画家だったら、とてもセンシティブでもあり芸術的な姿も見られたのではないか、と。

そうだとしたら、師任堂を演じる際に、皆さんがご存じの控えめで上品な姿だけではなくて、その裏側の、炎のようで情熱的でエネルギーにあふれた、ダイナミックな師任堂の姿を見せるのはどうだろうか、役者の立場としては、そのような視点で見ていました。

そしてまたそこに少し恋愛(要素)を加えるとしたら、そもそもこれはドキュメンタリーではなくドラマなので、見る方たちに少しでもメロドラマを通じて女性らしい師任堂を見せられるのではないか、と。

そのように、毎話、現場で監督さんや俳優さんたちや作家さんと悩みながら、新たに師任堂という人物を作っていきました。そういった点が、視聴者の方に感じていただける新しい面白さだと思います。(2ページに続く)

2017.06.28