「コラム」第37回 朝鮮王朝おもしろ人物列伝(孝明〔ヒョミョン〕世子編)

 

もし孝明世子が王になっていれば……

それにしても、21歳での早世というのはあまりに早すぎる。
それゆえに、「孝明世子は安東・金氏の勢力に毒殺されたのではないか」という憶測がずっとつきまとっていた。
その可能性も確かにある。孝明世子の死によって、没落寸前の安東・金氏が復活したからだ。
純元王后が自分の息子の命を狙うというのは考えにくいが、一族の他の誰かが毒殺を狙ったということは十分にありうるだろう。それくらい、安東・金氏にとって孝明世子は最大の敵だったのである。

孝明世子は容貌に優れ、頭脳も明晰だったという。今でいえば、イケメンのエリートだったわけだ。
あまりに才能が豊かなので、孝明世子は父の純祖の命令を受けて18歳の頃から政治を代行することも多かった。
その際には安東・金氏の勢力に対抗して新しい人材を登用したというから、もし孝明世子がもっと生きて順当に王になっていれば、政治を刷新していたに違いない。
本当に惜しい若者が早世してしまったものだ。
そういう気持ちで『雲が描いた月明かり』を見ると、ドラマで描かれた孝明世子にさらなる関心を持つのではないだろうか。
今までは歴史上でも影がうすかった孝明世子だが、ドラマの人気にともなって現在の韓国で大いに知名度をあげた。

文=康 熙奉(カン ヒボン)
提供=「歴史カン・ヒボン」

コラム提供:ロコレ
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2017.05.15