「取材レポ」「女神様は見ている」主演のミュージカル俳優チョ・ヒョンギュン「音楽は言語を超えて共感できる!」日韓通じて初のソロコンサート開催!

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2014 年秋の来日公演が話題となった韓国ミュージカル「女神様が見ている」に出演した気鋭のミュージカル俳優チョ・ヒョンギュン初のソロコンサートと、傑作ミュージカル「サリエル」の映像上映会が3月28日(土)東京・シネマート新宿にて開催された。

韓流ぴあが提唱する新しい韓国ミュージカルの楽しみ方、“Kミュージカルシネマ”の第一作目となる今公演には、目の肥えたミュージカルファンが多数訪れ、客席を熱気で満たした。

チョ・ヒョンギュンは、19歳の頃、偶然に観た「オペラ座の怪人」でミュージカル俳優を志し、2007 年「チャーリー・ブラウン」でデビュー。以降、「グリース」「RENT」「美男<イケメン>ですね」「サリエル」などで様々な役柄を演じ、キャリアを重ねてきた。2014年秋に日本で上演された韓国ミュージカル「女神様が見ている」では主演し、その歌唱力と存在感でファンを魅了した。

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古家正亨の司会で、ファンの拍手の中、チョ・ヒョンギュンが登場。1曲目は「天国に心奪われて」(ジーザス・クライスト・スーパースター)。スクリーンに日本語訳が映し出される中、スタンドマイクで力強く歌い、チョ・ヒョンギュンが片手を挙げて拍手を求めると、ファンは手拍子で応じた。続けて「The Music Of The Night」(オペラ座の怪人)、「見果てぬ夢 The Impossible Dream」(ラマンチャの男)を伸びやかな歌声で披露。時には拳を握りしめ、情感を込めて歌い上げた。

前日の夜は緊張をほぐそうと「2時間もサウナに入った」というチョ・ヒョンギュン。ソロコンサートは日韓を通じて初となる。やや緊張気味の彼をMCのトークで解きほぐしていく。

 

Q1曲目に「天国に心奪われて」を選んだ理由は何ですか?

今回のコンサートでは自分と関連した楽曲を歌おうと思いました。「ジーザス・クライスト・スーパースター」は大学の時に初めて演じた公演で、そのときはジーザスの役だったのですが、自分の歌じゃなくユダのこの歌が大好きで、最後までこの歌を一生懸命練習していた思い出があります。

 

Q「The Music Of The Night」や「見果てぬ夢」についてはどんな思いがありますか?

「The Music Of The Night」は、私の一番好きなミュージカルが「オペラ座の怪人」なんです。19歳のとき、仲のよい先輩がチケットをくれて初めて観たのですが、それを観てミュージカルの世界を知り、今こうしてミュージカル俳優をすることになった“核”となる曲です。

「ラマンチャの男」の「見果てぬ夢」は、ミュージカル俳優になる前に公演を観て、まるで自分の現実を見ているようで心を打たれた曲です。韓国でメディアのインタビューに「今年は海外旅行をしたい」とか「日本やブロードウェイで公演をしたい」と答えていたのですが、それがこうして現実になって、夢だったことが実現したことを感じながら歌いました。

 

ミュージカルに出会う前はダンスが好きな少年。友人の影響で高校の演劇部に入り、俳優を夢見ていたが、申請した書類を大学のミュージカル科に入れてしまい、最初はあまり望んでいない状況でミュージカルの道を歩むことになったという。

 

Q今はミュージカルが天職だと思っていますか?

毎回公演をする度に、今進んでいる道は自分の道ではないのかもしれない、という考えを持っています。俳優という職業は華やかでかっこよくて遊びながらお金を稼いでいると思われがちですが、実際の現場は俳優同士の、いい意味での競争がありますし、10作品があれば、その10倍の俳優は舞台に出られていない。そういう厳しい中で自分のポジションをキープするために一生懸命練習して公演をしています。

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そんな厳しい世界でキャリアを積み、日本でソロコンサートを開催できたことについて、「とても光栄に思っています」と照れたような笑顔を覗かせた彼は、ギターとバイオリンの生演奏で「Those magic Changes」(グリース)、「僕こそ音楽」(モーツァルト)、「why God why?」(ミス・サイゴン)でもファンを魅了した。ミュージカルの世界がそのまま飛び出してきたかのように、ジャケットの裾をひるがえし、ステージを左右に大きく動き回り、歌だけでなく生き生きとした表情や動作でもファンを湧かせた。

 

数ある「モーツァルト」の中でも歌手パク・ヒョシンの作品が好きだと明かすと、「どうやったら人からあんな素晴らしい声が出るんだろうと思いました」と目を輝かせる。MCに「パク・ヒョシンさんにどことなく似ている」と言われると、「ありがとうございます。似せるために整形手術でもしましょうか(笑)」とファンを笑わせるお茶面な一面も。「ミス・サイゴン」の「why God why?」については、旋律やテンポが好きでオーディションで100回は歌った思い入れのある曲だと打ち明けた。

 

チョ・ヒョンギュンも出演した傑作ミュージカル「サリエル」について聞かれると、「人間の内面を描いた作品」とし、「曲のすべてキーが高いんです。“声帯破壊”と言われるくらい。だから俳優の首筋に浮かぶ血管にも注目してください(笑)」と意外な見どころを紹介し、同ミュージカルから「狂った音楽」、「白鳥の歌」の2曲をファンの前で披露した。

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朝鮮戦争が題材の創作ミュージカル「女神様が見ている」については、「言語の問題もあり、字幕は出ても韓国上演のようにはいかないだろうと思っていました。でも言葉は通じなくても、人間の感情は同じ。上演期間も中盤になった頃、最前列にご夫婦がいらして、上演後、スタンディングオベーションをしてくれたんです。それを見て、公演後、俳優みんなで抱き合って泣きました」と振り返り、「言語を超えて誰もが共感でき、さらに楽しんで観ていただいたということがとても意味のある作品だった」とファンを見渡しながら思いを語った。

 

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初めてのソロコンサート、「緊張はなくなりました。あと2時間くらい歌えます(笑)」とファンを前にすっかりリラックスした様子。「心配もあったのですが、皆さん楽しく見てくださって、温かく迎えてくださり、心から感謝しています」と感謝を表し、「韓国でもまだ発表していないのですが」としながら、6月からは「ヴィンセント・ファン・ゴッホ」、「女神様が見ている」のアンコール公演もあると発表された。

 

最後に、「いつか挑戦してみたい」というミュージカル「ヘドウィグ」から「打ち壊せ Tear me down」をパワフルに熱唱。チョ・ヒョンギュンはステージから降り、ファンとハイタッチで会場を盛り上げると、スタンディングになるファンの姿も見られた。

鳴り止まないアンコールの後は、平井堅の「瞳を閉じて」。ギターとバイオリンでイントロが奏でられると、客席から静かな歓声と拍手が沸き起こり、彼の美しい歌声にじっくりと耳を傾けた。最後は「ありがとうございます」と深くお辞儀をしてステージを後にしたチョ・ヒョンギュン。

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第2部は彼も出演した傑作ミュージカル「サリエル」の記録映像の上映が行われた。「サリエル」は1791 年のオーストリアを舞台に、天才音楽家モーツァルトの登場で深い苦悩の淵に陥る偉大な宮廷音楽家アントニオ・サリエルのドラマティックな生涯をテーマにした作品。同作を制作した韓国のミュージカルカンパニー「HJカルチャー」のハン・スンウォン代表が、2014 年度「韓国公演プロデューサー協会 プロデューサー賞」を受賞したことを記念した一日限りのプレミアム上映会となった。

音楽は国も言語も軽々と超えるということを見せてくれたチョ・ヒョンギュン。今後の活躍に期待が高まる。

 

取材:Korepo(KOREAREPORT INC)

 

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2015.04.06